オーストラリアの看護職は、主に正看護師(Registered Nurse)、准看護師(Enrolled Nurse)、アシスタントナース(Assistant In Nurse)の3つの職種に分かれています。全ての職種において資格の取得が必要であり、各々の職種が定められた範囲の業務に従事します。
本ページでは、オーストラリアのアシスタントナースについてご紹介します。
1.アシスタントナースってなに?
アシスタントナース(看護助手)は、正式名称アシスタント・イン・ナーシング(AIN)という正看護師や准看護師の補佐する職種で、主に生活介助の業務を担います。
業務内容としては、食事介助、トイレ介助、シャワー介助、着替えの介助、シェービング、ベッドメイキング、ナースコール当番、エスコートサービス(他の病院への検査出しのフォロー)、血糖測定、バイタルサインチェック、褥瘡措置の介助、移乗、体交、おむつ交換、保清などが挙げられます。このような業務内容は、日本では正看護師が行っているケースが多いですが、オーストラリアではアシスタントナースが行っています。
看護助手と聞くと、「患者さんや施設利用者さんとあまりコミュニケーションを取らないのでは」とイメージされる方も多いかと思いますが、上述した業務内容を行うためには患者さんや施設利用者さんと英語でコミュニケーションを取る必要があります。
2.アシスタントナースになる方法
日本でアシスタントナース(看護助手)として働く場合、資格は不要ですが、オーストラリアではアシスタントナースの資格を取得しないとアシスタントナースとして働くことができません。資格を取得するためには、オーストラリアの職業訓練校TAFE(以下、TAFE)* のアシスタントナース資格取得コースを受講し修了証をもらう必要があります。
コース修了後の試験で合否が決まるのではなく、コース修了することにより、オーストラリアでアシスタントナースとして働くための知識・技術を習得したということが認められ、アシスタントナースの資格を取得することが可能となっています
TECHNICAL AND FURTHER EDUCATIONの略で、オーストラリア国内にある公立の専門学校のことです。州ごとに運営されており、日本でいうところの専門・短大卒の学位から大学卒(学士)の資格まで取得できるコースを開講しています。
シドニーのある州、ニュー・サウス・ウェールズ州のTAFEについてはこちらをご参照ください。
3.資格の種類
アシスタントナースの資格には、高齢者施設が主な就労先となる資格と病院での勤務も可能である資格の2種類あります。高齢者施設が主な就労先となる資格は、TAFEのCertificate III in Individual Support (Ageing)を修了することにより得ることができます。病院での勤務も可能である資格は、Certificate III in Health Services Assistance (Assisting in Nursing Work in Acute Care)を修了することにより得られます。
コース名 | Certificate III in Individual Support (Ageing) |
---|---|
期間 | 0.5年間(6ヶ月間) |
費用 | 10,190オーストラリアドル(2025年度) |
使用するビザ | 学生ビザ |
主な就労先 | 高齢者施設、訪問看護、グループホーム、など |
入学時期 | 2月、7月※キャンパスによる |
入学条件 | ・高校1年生以上を修了している ・Academic IELTS 6.0 or TOEFL (iBT) 64を保有している |
学習内容 |
<必修科目> <選択科目> |
コース名 | Certificate III in Health Services Assistance (Assisting in Nursing Work in Acute Care) |
---|---|
期間 | 0.5年間(6ヶ月間) |
費用 | 10,920オーストラリアドル(2025年度) |
使用するビザ | 学生ビザ |
主な就労先 | 高齢者施設、訪問看護、グループホーム、病院など |
入学時期 | 2月、7月 |
入学条件 | ・高校1年生以上を修了している ・Academic IELTS 6.0 or TOEFL (iBT) 64を保有している |
学習内容 |
<必修科目> <選択科目> |
このように、コースによって学ぶ内容や就労可能な場所が異なります。
5.資格取得にかかる費用
取得する資格の種類によって費用が異なります。Certificate III in Individual Support (Ageing)を受講する場合はオーストラリアドルで10,250 ドル(約105万円)、Certificate III in Health Services Assistance (Assisting in Nursing Work in Acute Care)を受講する場合はオーストラリアドルで10,920ドル(約112万円)の費用が必要です。
また、前項で述べたように資格取得コース入学までの語学研修費用も必要となります。1ヶ月間の授業料を約14万円と見積もった場合、6ヶ月間~8ヶ月間の語学研修費用は約84万円~約112万円となります。よって、資格取得までには、総額約189万円~約196万円が必要となります。
英語コース費用例:
入学金 | – | AUD150 |
---|---|---|
英語コース | 25週間 | AUD8,000 |
ドル合計* | AUD8,150 | |
日本円** | 839,450円 |
*TAFE NSW English Courseの費用で計算
**為替レート103円を適用して算出
6.就労先
「オーストラリアの病院で働けますか?」とご質問いただくことが多いのですが、必ずしも病院で働けるというわけではありません。アシスタントナースの就労先として挙げられるのは、ナーシングホーム(高齢者施設)やホームケア(訪問看護)、グループホームや病院です。英語力の高い方であれば病院で働けるチャンスもあるかと思いますが、多くの方がナーシングホームやホームケアで働いています。直接施設や病院と契約を結んで働く方法もあれば、看護師派遣会社に登録をして派遣会社が持つマンパワーが足りない就労先にオンコールもしくはシフトで派遣されて働く方法もあります。
7.アシスタントナースの給与
アシスタントナースの時給は、就労先や働く時間帯・曜日によって異なりますが、平均AUD30~35となります。オーストラリアは主に3交代となっており、モーニング(朝)・アフタヌーン(昼)・ナイト(夜)の勤務に分かれています。例えば、モーニングシフトの時給がAUD31の場合、アフタヌーンシフトの時給がAUD33、ナイトシフトの時給がAUD35などに上がったりします。また、オーストラリアは土日祝日に就労する場合、時給が上がります。例えば、平日AUD31で働いている場合、土曜日の時給がAUD40、日曜日の時給がAUD55、祝日の時給がAUD70など2~3倍に上がることもあります。
※上記はあくまでも例であり、時給を保証するものではありません。
まとめ
通常、TAFEで資格取得コースを受講してアシスタントナースの資格を得ますが、オーストラリアのワーキングホリデービザを使用して短期間で取得する方法もあります。オーストラリアでアシスタントナースとして働くことに興味のある方は、是非ワールドアベニューのカウンセラーまでご相談ください。