オーストラリアの看護も知りたい!と再出発した海外有給インターン

お名前叶 なつみさん留学期間2017年1月から2019年1月(予定)
滞在都市シドニー/オーストラリアインターン先ナーシングホーム

2014年4月からの1年間カナダのワーキングホリデーに参加。カナダでも医療通訳の学校に通い、インターンとして数週間働かれたなつみさんは、「オーストラリアの看護も学びたい!」「海外で資格取得も目指したい!」と、カナダから帰国後、再度お金を貯めオーストラリアのアシスタントナース有給インターンシップ(以下、プログラム)に参加されました。プログラム終了後は、アシスタントナースとして働き貯めたお金で、語学学校に通う学生ビザでの滞在延長を予定しているといいます。

1 きっかけは、オーストラリアのカンガルーケア。ファーストステップはカナダでのワーホリ


そもそも留学したいと思ったきっかけは、ある学会に参加したことにありました。
当時、新生児集中治療室(NICU)で働いていた私は、母親と子供のアタッチメント強化をテーマの一つにした学会に参加。その際、紹介されていたのが、「カンガルーケア」というオーストラリアの看護でした。この頃から海外の看護というものに対する興味関心が高くなり、同時に英語の必要性も感じるようになっていきました。

留学も検討したものの、当時国公立の病院で公務員として働いていたこともあり、今持っている「安定」を捨てることに大きなためらいがありました。せっかく頑張って築いてきたキャリアを捨ててまで海外に行く価値や意味を見いだせず、周囲からの反対(心配)の声も多く、留学に踏み出す決断は、なかなかできませんでした。

そこで、ひとまず英会話スクール通いをスタート。ここから5年ほど、留学すべきかどうか迷い続けました。
ただ、最初のうちは刺激的だった英会話スクールも、だんだんと「慣れ」が出てきます。日本人の英語や性格に慣れている英会話スクールの先生方は、たどたどしい英語でも、文法や発音が実は間違っていても、理解してくれます。少しずつ、英会話スクールだけでは自分が求めている英語力に達することが、難しいことなのだと感じ始めました。

2 最初はカナダ。帰国後、オーストラリアへ再出発。


英語の必要性を感じるきっかけとなったのが、オーストラリアの看護に関する話だったことから、最初は、オーストラリアへの渡航を考えました。しかし、いろいろと調べているうちに、オーストラリアではなく、カナダの方がよいのでは……と考えるようになりました。

カナダの方が自分にあっているのではないか?と考えた理由は大きく2つあります。
1つ目は、英語面、2つ目は気候面です。
1つ目の英語というのは、「英語の訛り」のことです。
訛りといっても、実際には、アメリカ英語かイギリス英語かという話なのかもしれません。もともと英会話に通い、アメリカ英語に耳慣れしていた私は、留学という大舞台で、突然、慣れていないイギリス英語よりのオーストラリアに飛び込むことが不安でした。
2つ目の気候面とは、ずばり「日差し」です。カナダでもオーストラリアでも生活してみた今となっては、高い重要度を占めなくなった気候(日差し)ですが、当時の私にとっては、超重要事項だったんです。(笑)

カナダ渡航中の友達にも、オーストラリア留学中の友達にも話を聞き、本当にいろいろと悩みましたが、最終的にはカナダのワーキングホリデーに決めました。

更なる向上心が芽生えたカナダでの留学

私が留学したのは、カナダのバンクーバーでした。カナダは2017年で建国150年を迎えたばかりの比較的新しい国で、移民も多く、英語を母語としない人々にもネイティブの人々がとても慣れています。なかでもバンクーバーはアジア人も多く、日本人に対しても好意的な印象を持っている人が多いことから、とても暮らしやすい印象をうけました。

渡航してすぐは語学学校に約3ヵ月間通いました。
さまざまな国から学生が集う、規模の大きな語学学校だったこともあり、今でも仲の良い、多国籍な友人ができました。その後は、FIVE GUYSというアメリカ東海岸発祥のハンバーガーチェーン店でアルバイトしました。

日本での英会話レッスン、語学学校での語学研修を経てのアルバイトだったにも関わらず、働き始めたばかりのころは、発音もイントネーションもまだまだで、まったく通じず、リスニングもできない……という散々な状態。FIVE GUYSの職場はとても多国籍で、同僚には、インド、スペイン、カナダ人など、さまざまな国の人がいたため、お互いに英語もつたなく、コミュニケーションが取れないことが原因でぶつかり合うこともありました。

仕事を通じて、少しずつ、言いたいことを言えるようになってくるものの、伝えたいことが100%伝わっているかどうかわからない……。なんとか伝えられたとしても返ってくる英語を100%理解できているかどうかわからない……。そんな状態がしばらく続きました。

残念ながらお給料は10~11ドル。北米特有のチップはレストランなどではないので、ほぼなし。職場が家から近かったこともあり、なぜかオンコールで、馬車馬の如く働いていました(笑)。

ただ、しんどかった、辛かったかというとそんなことは全くありません。
レジを担当しているときは、観光でカナダを訪れたというオーストラリア人のおじいさんに出会い、私の接客に感動した!と、コアラのクリップをプレゼントしてくれた、なんてこともあり、大変なことはたくさんあったものの、仕事内容はとても新鮮でしたし、さまざまな国の同僚たちとの付き合いも刺激的で、非常に楽しい経験でした。

カナダ留学での生活や旅行

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ただ、やはり医療や看護に関連した英語の勉強や経験も積みたいと考え、クリニックや薬局での数週間のインターンを含んだ1ヵ月半の医療通訳コースに参加しました。語学学校ではなく、地元のクリニックが主催していたもので、医療現場で使われる英語や、カナダの医療制度を知るとても貴重な経験になりました。

カナダでのワーホリは、総合的に、とても満足な経験でした。ただ、海外と日本の医療制度の違いなどを目の当たりにすることで、もともと、海外や英語に興味関心を抱くきっかけとなったオーストラリアが気になり始めました。

やはり、オーストラリアのことも知りたい。
オーストラリアであれば、資格取得も目指せるかもしれない。

しかし、海外で資格取得を目指すとなると、お金も時間もかなりかかります。
必要経費を貯めるためには、3年くらいは働かないといけない……。両親は帰っておいでといっているし、結婚も出産も気になる!!

当時の年齢はちょうど30歳。なかば諦めかけていたのですが、どうしても諦めきれません。
カナダでのワーホリを通じて、踏み出さなければ見えない世界、知らない世界がたくさんあることを知ったし、人生一度きりなんだと、体感していたからです。いてもたってもいられなくなった私は、カナダワーホリの際にお世話になったワールドアベニューに再度相談しました。

すると、30歳中であれば、ワーキングホリデービザの申請が間に合うと言います。
ワールドアベニューには、ワーキングホリデー制度を利用した海外看護有給インターンというプログラムがありました。いきなり正看護師として働くことはできないけれど、アシスタントナースとして、病院や施設で、しかも「有給」で働くことができる他にはない留学プログラムです。担当のカウンセラーさんから説明を受け、「これだ!!」と思いました。

気持ちが前のめりな私は、「これで行きたいです!!」と、即日決断。
1年くらいかけて貯金と準備をし、オーストラリアへ再出発しました。

3 1年のブランクにショック!必死でもがいた語学研修期間


カナダには1年半ほど渡航していたため、カナダから帰国する直前は、英語でのコミュニケーションが当たり前になっている状態でした。しかし、帰国してからオーストラリアへの再渡航まで、約1年間、どっぷりと日本語環境に浸かっていた私の英語力は、信じられないほど、落ちていました。

オーストラリアに到着してすぐ、語学学校のレベルチェックテストを受けたのですが、その結果を見て、思わず涙が溢れるほど、ショックを受けました。

「カナダかぶれ…」
そんな自分へのレッテルを、必ず挽回して見せる!!!
思いがけないスタートでした。

ただ、最初にしっかりと悔しい思いをしたおかげで、勉強に思い切り集中することができました。
やはり一度登ったことのある階段は、初めて登る階段と比べれば大変ではありません。

初めての英語学習方法 カランメソッドには驚き


オーストラリアに出発してすぐの約3ヵ月間、JET English Collegeという語学学校で英語を集中的に学びます。現場でインターンするためには、リスニング力とスピーキング力を短期間でグッと伸ばす必要があります。そのための対策としてJET English Collegeでは、スピーキング力とリスニング力、そして発音などを強化するカランメソッドを、通常1日3レッスンのところ、6レッスン受講します。また、私の場合、通常の授業時間数プラス、プライベートレッスンというマンツーマンの授業も並行して受けました。そこでは、自分自身が弱みと感じていたライティングや文法力を強化できるよう特訓してもらいました。

カランメソッドという特殊な英語学習方法で行われるJET English Collegeでの授業は、カナダの語学学校での英語学習方法とまるで異なりました。とにかく正しい英語を聞いて繰り返すという筋トレのような勉強方法なのですが、最初は「これの方法で、本当に伸びるの!?」と驚きました。
しかし、やり方に慣れてくると、日常生活において実際に使用するさまざまな表現や単語を学べていることに気が付くと共に、話している途中でその都度、誤っている発音やイントネーションを修正してもらえるので、いい刺激と学びになりました。

実践の場でも役立ったCertificateⅢコース


このプログラムでは、語学研修修了後、オーストラリアでアシスタントナースとして働くために必要な資格、CertificateⅢを取得するため、約6~8週間、勉強や実習をこなします。内容自体は高齢者介護や解剖生理学など、日本でも勉強してきた内容なため、極端に難しいということはありませんでした。ただ、知っているのに、英語になったとたん、説明できない、わからないという状態になります。CertificateⅢコースを受講することで、現場で使われる専門用語を学ぶことができたのは良かった点だと思います。

また、実技では、リフターなどと呼ばれる患者さんや利用者さんを移動・移乗させる際の移動・移乗補助器具の使用方法を学び、これは実際の仕事の場でもとても役立ちました。

カナダ留学前に不安に感じていた英語や気候も…


以前心配していたオーストラリアの気候も、全く問題ありませんでした。
到着したのが真夏の時期だったこともあり、日差しは強かったのですが、湿度も低くカラッとしたオーストラリアの気候はとても気持ちのいいものでした。
また、オーストラリア(シドニー)にはきれいなビーチがたくさんあります。リフレッシュしたいときは、白い砂浜を散歩したり、海を眺めたり、とてもいい環境で留学の再スタートを切ることができました。

イギリス英語系のオーストラリア英語は、北米の英語と、使用する単語や好んで使う文法が異なるため、やはり戸惑いもあります。しかし、オーストラリアはカナダ同様、とても多国籍な国で、誰もが第一言語を英語としているわけではありません。本当にコミュニケーションの道具の一つであり、「キレイ」とか「キタナイ」ではないんだなと感じるようになりました。

オーストラリア留学中の生活

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4 温かさを感じたオーストラリアの看護


このプログラムはワーキングホリデー制度を利用した留学のため、最初の1年目で一定期間季節労働をこなすことで、セカンドワーキングホリデーという2年目の滞在許可を得ることができます。
残念ながら、セカンドワーキングホリデービザもファーストワーキングホリデービザ同様、年齢が30歳中にビザ申請を行わないといけないため、私の場合は利用できませんでした。
ただ、ファームは経験としてやってみたいと思っていたこともあり、ポテトファームに行きました。
ファームに近いバッパーで滞在し、農場の仕事(求人の案内)を待つこと約1週間……。冬に差し掛かった6月だったこともあり、仕事はなく…… 共にバッパー生活を送るヨーロッパ人(アジア人は1人もいませんでした)と週末はパーティーナイト(笑)「もう、いいや、シドニーに戻ろう!」と航空券をとりシドニーに戻る直前、1日だけ働くことができました。ラッキーだったのかどうなのか、結論、ファームの仕事は私にはあわないと感じることができました(笑)。

そんなこんなで7月からアシスタントナースとして、ナーシングホームを中心に働き始めました。

実際に働いてみて感じていることは大きく3つあります。
1.アシスタントナースとしての仕事だけど高齢者介護・看護を学べる
2.コミュニケーション力・英語力の重要性を日々感じる
3.オーストラリアの看護は「温かい」

1.アシスタントナースとしての仕事だけど高齢者介護・看護を学べる

ナーシングホームで働いていると、業務は、高齢者へのケアが中心となりますが、日本で小児を中心に経験してきた私にとっては、さまざまな学びがありました。共に、プログラムに参加していた同期で、高齢者ケアの経験がある方からもいろんなことを教えてもらいました。いい経験です。

2.コミュニケーション力・英語力の重要性を日々感じる


ある患者さんが「私は、今日買い物に出かけるの」といいます。私は、(そうなんだ)と思い、患者さんに言われた通り、患者さんの身支度などを始めました。しかし、実際には、その患者さんは認知症で本当に買い物に行くわけではないことを知りました。患者さんのバックグラウンドや習慣などを把握していなかったために起きたことの一つの事例です。
初めて働く介護施設で、対応する患者さんの状況を把握するためには、患者さんとのコミュニケーションはもちろん、周囲のスタッフとのコミュニケーションも非常に重要です。しかし、実際に現場で働くことで、日本では当たり前にできていたことができない……。
高齢者ケアに限らず、現場でコミュニケーションは非常に重要な役割を持ちます。カナダでもオーストラリアでも、一生懸命勉強してきたにも関わらず、誰かが伝えたいと思っていること、訴えていることを、真に理解できない、思いや意見を100%伝えきれない……。「まだまだ」だと日々葛藤がありました。

3.オーストラリアの看護は「温かい」

そして、オーストラリアの現場で働いてみて感じたこと3つ目は、「温かさ」です。
職場のスタッフや患者さん、そして利用者さん、互いが互いのことを、「ダーリン」「ハニー」と呼び合い、日本よりもスタッフと患者の距離が近く、私にとってはとても心地いい距離感でした。
働くなかで、「あなたが来てくれて嬉しいわ」と顔を覚えて喜んでくれる方が増え、「ありがとう」とほっぺや手にキスをしてくれる患者さんもできました。夫婦で入所している方もいて、訪ねてくるご家族との会話もとても温かく、日々の葛藤や大変さなんて吹き飛ばしてくれるような温かさがオーストラリアの現場には溢れていました。

また、仕事を通じて、ではありませんが、ワールドアベニューのサポートの一環で、現地の小児病院を見学に行った際に感じたこともあります。
そこでは、病状だけではなく気持ちも踏まえ子供のことを本当に最優先に考えているんだな、ということを感じました。例えば、私が見学で訪れた小児病院には、「プレイルーム」がありました。プレイルームには、おもちゃやゲームがあふれ、子供たちが本気で遊べる環境が整っていました。そして、このプレイルーム、医療従事者が入ることが許されていません。(もちろん子供たちを見守る大人はいます)
その心配りは、「子供たちが病気を忘れるくらい遊べる場所を作りたい」という温かい思いを感じたような気がしました。

プレイルーム以外にも驚いたことがあります。例えば、子供たちが家族と過ごすための空間がものすごくたくさんありました。もちろん、日本の小児病院や小児病棟にもそのような空間は用意されていますが、オーストラリアで見学した病院ほど多くはありません。

幼い子供たちにとって、病気や治療の痛みと闘うだけでも相当のストレスになることは間違いありません。そのうえ、支えとなる家族と離れることがどれほどの辛さを伴うものなのか、想像し得ません。この思いを汲み、オーストラリアの小児病院には、何床もの家族が滞在できるベッドや空間が用意されているんです。
まだ資格取得するかどうかは決めていませんが、これらの経験から、今後もオーストラリアの小児に関する勉強や情報収集は引き続き行っていきたいと感じています。

小児病院の見学について詳しくは「オーストラリアで看護留学中の方を対象に、交流会を開催!現地の病院見学に行きました。」をご参照ください。

5 インターンを経て感じたこと、そして今後の目標


もうすぐ、渡航して1年目が終わります。セカンドワーキングホリデービザは利用できませんが、アシスタントナースして働いて稼いだお金で、もう1年、語学留学しようと考えています。

理由は、納得のいくところまで英語力を伸ばしたいということ、また、もう少しいろんな経験をしながらオーストラリアでの生活を楽しんでみたいと考えたからです。そしてその先には、もともと考えていたオーストラリアでの正看護師資格取得も考えていますし、資格とは関係なく小児関係の勉強をしてみるということも念頭においています。

オーストラリアの人々や、周りの学生たちは、なんだかとても前向きで、新しいことへのチャレンジに億劫さを感じさせません。実際、もともと海で泳ぐことのできなかった私は、オーストラリアに来て泳げるようになりました(笑)他にも、カナダのバンクーバーよりも盛大だったLGBTQのパレードでは、私も友人4人とレインボーの靴下をはき、自分たちで作ったTシャツを着て参加したりもしました。子供にもっと関われる機会はないかと模索していたときに、働いているナーシングホームで働くナースの方からナニー(ベビーシッター)の仕事のオファーをいただきました。

↓盛大なオーストラリアのLGBTQのパレード

英語力を高め、もっともっとやれることを増やし、オーストラリアでの生活を楽しみながら、経験値を高めていきたいです。

このプログラムに参加して、あらためて本当によかったなと感じています。仕事自体はアシスタントナースですが、正看護師の話を聞くことも現場の雰囲気を見ることもできました。海外に踏み出してみて、変わった目標や、広がったやってみたいこと、今後の目標、すべてがポジティブです。

留学に踏み出すときは、公務員を辞めることに悩んだり、周囲からの反対や心配に気持ちがぐらついたり、いろんなことがありました。でも、本当に踏み出してみないとわからないことがたくさんあるし、本当に嫌だったら辞めて帰ればいいんです。飛行機1本で日本に帰ることができますから(笑)。