海外で看護師資格に必要な英語試験 OET

日本語で徹底解説
医療者向け英語試験OETとは

ここではOETとは?と題して、医療者向け英語試験OET(Occupational English Test)について、OETとはどのような英語のテストなのか、IELTSやTOEFLと比較してメリットは何かなど、OETについて解説していきます。海外で看護師として働きたいと考えている方、必見の記事となっています。
※注意事項:2021年10月時点の情報です。最新情報はOET公式ホームページをご参照ください。

OETとは
(概要・受験費用・試験会場)

OETはOccupational(職業) English(英語) Test(試験)の略で、アメリカやイギリス、カナダやオーストラリアなどで、医師や看護師など医療従事者として資格の登録、働くために必要な英語力の証明に用いられるテストです。

OETの概要まとめ

試験費用 USD455 または AUD587
日本円で約42,000円から50,000円程度
受験可能な国 世界250か国以上

日本
コンピューターベース
東京:御茶ノ水ソラシティ
大阪:中津テストセンター

ペーパーベース
大阪:UKPLUS OSAKA

開催頻度 月1〜2回程度
結果通知までの期間 2〜3週間程度

1回の試験費用は455アメリカドル、または587オーストラリアドル、日本円で42,000円から50,000円程度です。試験は世界250か国以上で受験することができ、日本でも東京または大阪で受験できます。試験の開催頻度は月に1回から2回程度、結果は受験から2・3週間程度で通知されます。開催日によって対象となる職種が異なるため、詳細はOETの公式ホームページで確認するようにしましょう。

OETで一定のスコアを満たすことにより、OETを認めている国で医師や看護師として資格を登録、働くことができるようになります。また一部の教育機関や移民局では入学時またはビザ申請時の英語力の証明としても利用できます。

試験内容の特徴

試験 特徴
OET 医療関連トピック
TOEIC ビジネス関連トピック
IELTS 広範囲な学術的内容
TOEFL 広範囲な学術的内容

OETの最大の魅力は試験の内容が医療関連のトピックだということです。臨床に即した会話をベースにした問題になっており、ビジネス関連トピックが出題されるTOEICのように証券会社の売上に関する会話が登場することもありません。また学術的内容を広範囲に訴求してくるIELTSやTOEFLのように環境問題や人種差別などについて言及するような話も登場しません。内容に興味関心を持って勉強できることはもちろん、実際に英語環境下で働く際に英語力を身につけることができるという魅力があります。

OETの対象職種

OETは医師、看護師、歯科医師、薬剤師、栄養士などを中心に次の医療職種を対象に提供されています。国によって対象となる職種は異なるため、希望の渡航先についてはOET公式サイトで調べてみましょう!

対象職種
医師、看護師、歯科医師、薬剤師、栄養士、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、放射線技師、視能訓練士、足専門医、獣医

OETが認められている国


OETを認めている代表的な国は、オーストラリア、アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランド、アイルランド、シンガポール などが挙げられます。OETは世界で唯一の医療従事者向けの国際英語試験ということもあり、少しずつ認可する国が増えてきました。
最近では米国医師国家試験、通称USMLE(ユーエスエムエルイー)の英語コミュニケーション能力を図るStep 2 CSがコロナの影響により廃止、代わりにアメリカ国外からも受験可能なOETが採用されました。これにより、海外で臨床経験を希望する医師の間でも注目を集めています。

OETの
評価基準と資格登録に必要なスコア

OETは数字でいうと500点満点で、この数値をAからEのグレードにわけ、評価します。

グレード 数値 能力の概要
A 450-500 患者や他の医療従事者と、適切な音域、トーン、語彙を用いて、非常に流暢かつ効果的なコミュニケーションができる。あらゆる種類の書き言葉や話し言葉を完全に理解することができる。
B 350-440 適切な音域、口調、語彙を用いて、不正確さや、ためらいを伴うことなく、患者や他の医療従事者と効果的なコミュニケーションをとることができる。また、さまざまな臨床の場で十分な理解を示すことができる。
C+
C
300-340
200-290
時折のエラーやミスにもかかわらず、関連する医療環境での対話を維持し、専門分野で通常見られる標準的な話し言葉に従うことができる。
D 100-190 ある程度の対話を維持し、自分の専門分野における簡単な事実情報を理解することができるが、説明を求めることがある。頻繁な誤りや不正確さ、専門用語の誤用や使い過ぎは、コミュニケーションに支障をきたす可能性がある。
E 0-90 身近な話題で簡単なやりとりができ、説明次第では、短くて簡単なメッセージの要点を理解することができる。誤字脱字が多く、専門用語の誤用や使いすぎがあり、コミュニケーションに支障をきたす可能性がある。

ではどのくらいのスコアを取得すれば、アメリカやイギリス、オーストラリアなどで医療従事者として働くことができるのでしょうか? 結論から言うとグレードB以上、つまり350点以上の結果を求められることが一般的です。先ほどご紹介したUSMLE(ユーエスエムエルイー)での英語力の証明もOET B以上が必要となっています。

具体的には「適切な音域、口調、語彙を用いて、不正確さや、ためらいを伴うことなく、患者や他の医療従事者と効果的なコミュニケーションをとることができる。また、さまざまな臨床の場で十分な理解を示すことができる。」英語レベルとされています。

OETの各スコアが具体的にどのくらいの英語力に相当するのか…ちょっとわかりにくい、と感じる方もいらっしゃると思います。そこで、OET同様、英語圏で医療従事者として働くために必要な英語力の証明としてよく用いられるIELTSに換算してみたいと思います。

OET IELTS
450-500 A 8.0 – 9.0
350-440 B 7.0 – 7.5
300-340 C+ 6.5
200-290 C 5.5 – 6.0
100-190 D 4.0 – 5.0
0-90 E

OETの各スコアが具体的にどのくらいの英語力に相当するのか…ちょっとわかりにくい、と感じる方もいらっしゃると思います。そこで、OET同様、英語圏で医療従事者として働くために必要な英語力の証明としてよく用いられるIELTSに換算してみたいと思います。

表をご覧いただくとわかるように、OETのBは、IELTSだと7.0から7.5に相当します。ちなみに、イギリスの看護協会であるNursing and Midwifery Council、通称NMCでは2020年1月、英語力の基準を緩和し、ライティングのみIELTS6.5相当のC+でも認定するという動きがありました。

このように「B以上」はあくまでも海外の医療従事者として働くために一般的に求められる水準です。各国・団体の需要と供給によって認定水準は異なり、また変更となる可能性は大いにあります。各国・各教育機関の認定基準に関しては、必ず各団体にご確認くださいね。

OETの試験内容

次に、試験内容についてみていきましょう!

OETは医療現場でのコミュニケーションに重点を置きつつリスニング、リーディング、ライティング、スピーキングの4技能を評価する試験です。OETの結果は各技能ごとに評価されており「総合点」という概念はありません。つまり、先ほど「評価基準と資格登録に必要なスコア」で、医療従事者として働くために求められるスコアは「B以上」とお伝えしましたが、このスコアは総合点ではなく、各技能全てがB以上である必要があることを覚えておきましょう。

技能 時間 テスト内容 共通
or
特有
リスニング 45分 医学の講義や医師と患者の診察時の会話などをもとに出題されます。 共通
リーディング 60分 健康に関するさまざまな種類の文章をもとに出題されます。 共通
ライティング 45分 主には紹介状を作成します。職種によっては、転勤や退院、患者や介護者・グループへの助言や情報提供を目的とした手紙などの作成を求められることもあります。 特有
スピーキング 20分 個室で、2つのロールプレイを行います。受験者は医療従事者として専門的な役割を担い、対談相手は患者、または患者の家族や親戚や介護者を演じます。 特有

まず、リスニングとリーディングテストから紹介します。
リスニングの試験時間は45分間、医学の講義や医師と患者の診察時の会話などをもとに出題されます。リーディングの試験時間は60分間で、健康に関するさまざまな種類の文章をもとに出題されます。リスニングとリーディングの試験内容は全ての医療従事者共通の内容となっています。

 
 
 

次にライティングとスピーキングです。
ライティングの試験時間は45分間で、主には紹介状を作成します。職種によっては、転院や退院、患者や介護者・グループへの助言や情報提供を目的とした手紙などの作成を求められることもあります。

スピーキングの試験時間は20分間です。
個室で、2つのロールプレイを行います。受験者は医療従事者として専門的な役割を担い、対談相手は患者、または患者の家族や親戚、介護者を演じます。
ライティングとスピーキングは職種により出題内容が異なります。

技能ごとの具体的な特徴や対策方法については別の機会に紹介します。

OET受験に
取り組むメリットと他の試験との比較

OETの最大の魅力は試験の内容が医療関連のトピックとなっていることです。これにより対策を行う際の心理的ハードルが下がり、対策、つまり勉強もしやすくなります。また、試験で学んだことは将来的に実践で役立てることもできます。

実際にケンブリッジ英語検定による2013年の調査では、医療関係者の93%が「OETを受験した従業員や同僚に対して職場で英語を効果的に使用している」と回答するなど、OETの結果は言語能力の観点から就労に向けた準備にポジティブな影響を与えていることが証明されています。

これは受験者側の声としても同様で、テスト内容が自身の職業に関連していることで、実際に働き始めた際、患者や同僚との会話に自信を持てるようになったと述べています。

また、メルボルン大学のLanguage Testing Research Centreによる2013年の研究では、OETの受験者は、テストの課題が職場でのコミュニケーションに非常に関連性があると報告しており、結論としてOETを受験することは、言語能力だけでなく、実際の臨床面でも有益な効果があるとしています。

資格取得だけではなく、実際に医療現場で使うことを想定した英語の試験であることが他の試験との大きな違いであり、OETで目標達成を目指すメリットと言えるでしょう。

まとめ
【動画あり】

いかがでしたでしょうか?
今回はおおまかにOETの概要を説明しました。IELTSやTOEFL、OET、どの試験の勉強を進めていくべきか迷っているという方にとって参考になれば嬉しいです。

次はリスニングやスピーキングなど、各技能の概要、そして対策方法などを紹介していきます。海外で医療者として働きたいと考えている方にとって有益な情報を配信してければと思っていますので、ぜひチェックしてくださいね!

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