将来は、看護師として国際協力活動に挑戦したい

お名前都田 将さん留学期間2016年9月-2017年9月
滞在都市シドニー/オーストラリアインターン先ナーシングホーム

渡航して8ヵ月、英語力も伸びてきて、仕事にも余裕を持って取り組めるようになってきて、いろんなことが「これからだ!」と感じています。と語ってくださった将さん。理系の大学卒業後、JICAの青年海外協力隊に参加。途上国支援を通じ、帰国後は人道支援分野で携わりたいと感じ看護師になった将さんは、決断力と行動力をもってどんどん突き進みます。そんな将さんの体験談をインタビュー形式でご紹介します。

1 きっかけは大学卒業直後に飛び出した国際協力支援

カウンセラー:将さんは国際協力活動で2年間、アフリカに行かれていらっしゃるんですよね?
将さん:はい。青年海外協力隊に参加した時は看護師ではなく理科教育に携わる活動をしていました。日本みたいに衛生環境や物が揃っているわけではないので、ある時はアメーバ赤痢に感染したり、青空の下、手を使って用をたしたり、貴重な経験を沢山しました(笑)。

カウンセラー:じゃぁ、看護師になったのは、アフリカから戻った後だったんですね。
将さん:はい。2年間のアフリカでの活動を終えて感じたことは、再び何かしらの形で途上国に関わる仕事をしたいということでした。
途上国では貧困や医療施設、人材が不足しているため治せる病気が治せなかったり、例えば手が汚れたら石鹸で手を洗うといった公衆衛生の教育も行き渡っていないため、防げる感染症が防げなかったりと、日本では考えられないような問題が山積しています。その中で今後は医療や保健衛生、福祉の分野で途上国のために何か出来ることはないかと考え、最終的に専門性を持ち、幅広い分野で活動できる看護師になることに決めました。

アフリカから帰国し、資格を取得、働き始めました。

働き始めて2年が過ぎようとした頃、このまま同じ職場で経験や専門性を磨いていくことが大事なのか、あるいは自分のやりたい事により繋がっていく環境に変えていくべきか考えました。今いる環境では途上国支援に繋げることや語学力を伸ばすことは難しいと思ったからです。

ただ、当然のことなのですが、臨床を重ね、病院から国際支援活動に携わろうと思うと臨床経験も専門性も病院でのキャリアも、もちろん語学力も必要で、相当な年月を積み重ねなければなりません。また看護師としての仕事にやや疲れていたこともあり、このまま時間続けていくことに対して、本来の目標・目的との「ズレ」も感じていたころでした。

英語力を身に付けたい思いと海外で看護に携わる経験と、何かできるものはないかと調べていたところ、ワールドアベニューのプログラムを見つけました。
海外の看護の現場を体験することができる留学に、その時点で臨床経験の少なかった私でも参加でき、且つお給料ももらえる!アシスタントナース有給インターンシップを見つけたとき、「これかも!」と思いました。
ワールドアベニューが主催するセミナーに参加し、カウンセラーの方から具体的な海外有給インターンシップの概要、スケジュール、参加条件などを聞いたり、実際に留学中の方の声を聞いたりし、留学することを決断しました。

カウンセラー:大学を卒業後、国際協力活動に2年間参加、その後看護師資格を取得し、臨床を積み…怒涛の如く進んできました将さんですが、最終的に臨床経験は何年でご渡航されたんですか?
将さん:最終的に看護師としての臨床経験は2年4ヵ月間です。
3年目と言えば、病棟での係や院内の委員会、研究、リーダー業務などに携わったりと、いわゆる「これから」のタイミングなので、退職するときは、師長さんを含む職場の方々からも「まだ早いよ」と、いろいろお話しいただきました。
ただ、ワーキングホリデー制度が利用できる年齢も限られているし、将来的に国際協力に携わりたいと思うと、英語力を身に付けて帰ってきて、そこからさらに専門性を磨いて、改めて国際協力活動に参加…となると、自分のやりたいことにはまだまだ時間が必要です。やれることはなんでもできるときにやらないと!という思いの方が強かったので、押し切って、留学することに決めました。

留学を決断したのは2016年5月で、出発が9月だったので、かなりばたばたでした(笑)でも、なんとか、2016年7月に退職し、1ヵ月間ほどいろいろ準備し、無事9月に出発することができました。

3 海外での勉強は慣れるまで一苦労…でも慣れてみると…

カウンセラー:あっという間の準備期間を経てオーストラリアに飛び立った将さんですが、出発前、不安や心配はありましたか?アフリカに2年間も滞在した経験のある将さんなら怖いものなし??
将さん:いやいや!ありましたよ!(笑)
特に英語力は初心者だったので不安でした。海外の現場で働く、日本でも簡単なことじゃないのに、しかもそれを英語で…とイメージすると、かなり不安なものがありました。

カウンセラー:感じていた不安を払拭するためにも、最初は語学研修からスタートしましたね。カランメソッドでの勉強はいかがでしたか?
将さん:初めて授業を受けたときの正直な感想は、「本当にこのやり方で喋れるようになるのかな…」でした(笑)
それに日本での英語の勉強方法とは全く異なるので、慣れるまで大変そうだな…とも思いました。
でも、1~2週間過ぎていくとだんだんカランメソッドに慣れてきて、少しずつ、良さがわかっていきました。
カランメソッドでは先生が、どのレベルでもネイティブのスピードで話していきます。また、先生が話したセンテンスをひたすら繰り返していきます。まず本来のネイティブの英語スピードに慣れるとともに、センテンスを瞬時に繰り返していくことで、英語に免疫ができ、文法などをぐちゃぐちゃ考えなくても会話ができるようになっていきました。日本で勉強してきたときのような英語を「覚える」のではなく「慣れ」て自然に「使える」ようになっていきました。

あと、カランメソッドの授業と並行して、メディカルイングリッシュのコースも取っていました。
メディカルイングリッシュでは、患者さんとのコミュニケーションや、思いやりのある言い回しなど、実際にアシスタントナースとして働くときのことを想定した、さまざまな表現を学びました。語学研修後のCertificateでも、実際の仕事でも役立っています。

カウンセラー:英語研修後はCertificateですね。Certificateは皆さん、「大変だった…」と言われますが、いかがでしたか?
将さん:Certificateは前半座学、後半実習だったのですが、座学パートの日々の課題が多くて…(笑)
内容も今までのように英語を学ぶのではなく看護を学ぶのため、より専門的な単語が飛び交いますし、就労に関するオーストラリアの法律やルール、解剖生理学など、グッと難しくなりました。課題を日々こなすペースを作るまでが少し大変でしたが、ペースをつかめばなんとかなるな、という感じでしたね。
後半の実習は、仕事前に体験できてよかったな、という感じです。実際の職場の雰囲気を見ることもできましたし、オーストラリアで働くことのイメージを持つことができました。実習というと日本での実習は眠れぬ日々の印象だと思います。ただ、ここでの実習は日本と比べると、全然のんびりした感じで大変さはそこまでありません。

一つ、面白い、というか、文化や考え方の違いなのだと思うのですが、最低限学ぶべきことを学んだらそれで修了。あとは、本人の自主性、主体性次第って感じです。
例えば、寝たきりの患者のリフトを使った移乗方法とかよくわからないなー…その内教えてくれるかなー…と思っていても、やってくれません。でも、寝たきりの患者の移乗方法を教わっていないので、教えてほしいというと、学べる環境を用意してくれるという感じです。
だから、プラスアルファのことは自分たちから積極的に質問したり、教えてほしいと伝えたりして、学ばせてもらいました。

4 異文化の中で働く

カウンセラー:Certificateも修了し、いよいよお仕事スタートですね。
仕事をし始めたばかりの時は大変なこともたくさんあったと思います。いかがでしたでしょうか。
将さん:アシスタントナースとして働き始めて、慣れるまでに約1ヵ月間かかりました。
私は、派遣スタッフとして働いているので、都度働きに行く仕事先が異なります。以前に働いたことのある職場というのも長く働いていると出てきますが、特に最初は、すべての施設が、「初めて」の職場です。
必要な備品がどこにしまってあるのかなどの勝手もわからないし、利用者の方々のことも職場のスタッフの方々のこともわからない…、当然言葉の壁がある…。慣れない職場環境で、最初は注意されることも、あきれられることもありました。どこでもなんでも最初はそうかもしれません。でも、やはり、しんどかったですね(笑)

ただ、1ヵ月もすると少しずつ慣れていきました。
何度か出入りする施設や担当する利用者さん、回を重ねると認知症の方でも顔を覚えてくれたり、「会えてうれしい」と言ってもらえたりするようになっていきました。職場のスタッフや、共に働いた方からも「よくやってくれているね」や「今日、あなたが来てくれて本当に助かったわ」などの言葉をもらえるようになっていき、最初の1ヵ月が辛かった分、本当に嬉しくて……。まだまだ大変なこともありますが、楽しめていると思います。

カウンセラー:素晴らしいですね!
もともと海外の現場で働いてみたい、日本との違いも感じてみたいと考えていらっしゃったかと思いますが、実際に働いてみていかがですか?印象に残っていることなど教えてください。
将さん:オーストラリアは本当に多国籍な環境で、患者さんや利用者さんもロシア、イタリア、ドイツなどさまざまな国、出身の方がいらっしゃいます。それは働く側も一緒で、ネパールやインドなど、こちらもさまざまな人々がいます。

考え方や宗教、価値観、習慣など、個々のバックグランドによって全く異なるため、看護、介助にも、日本では意識したことのないような配慮が必要です。例えば、シフト交代で申し送りをするときのことです。引継ぎのメモに、「ホロコースト」というメモがありました。ホロコーストとは、第二次世界大戦中のナチス党率いるドイツ国がユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺を指します。申し送りの際のメモは、「第二次世界大戦中にアウシュビッツ収容所に入れられていた経験のある利用者の方なので、介助する際に配慮が必要」ということなのだと思います。確かに、私自身、認知症のユダヤ人の利用者の衣類の脱着を手伝っている際、ものすごく不穏になり、全力で引っかかれたり、いきなり怒鳴られたりしたことがあります。当時は驚きましたが、その方の背景を知ることで理解もできたし、接する際に、さまざまなことを配慮できるようになります。
他にも宗教が違えば、食に対する配慮も必要だし、信仰に対する理解も持たなければなりません。日本ではなかなか考えることのなかったことなので、貴重な経験を積めているな…と感じています。

日本人は他人の思いや考えを想像し、配慮しながら接することができるし、利用者さんの細かな反応からよりよいケアの提供もできます。日本での経験や日本で学んできたことがきちんと通用することを実感でいていることもよいことだと思います。

カウンセラー:今はどのくらいのペースでお仕事されていらっしゃいますか?
将さん:今は週4回程度ですね。先日家族がオーストラリアに遊びにきていたのですが、そういう時は週2回にするなど柔軟に働いています。入るシフトもモーニング、アフタヌーン、ナイト、すべてのシフトにまんべんなくという感じです。

時給は働く時間帯によって異なりますが、
モーニングシフト…25~26ドル
アフタヌーンシフト…29ドル
ナイト…30ドル弱
土曜…38ドル
日曜…45ドル
祝日…50ドル
で、1週間の手取りが平均600~700ドル程度です。
日本円に換算すると、1ヵ月で23万円~27万円くらいですね。

生活はシェアハウス、1人部屋で暮らしていて、1週間の家賃が180ドル(ネット代や光熱費など込々)。日本円にすると月の家賃が65,000円程度なので、今の手取りで十分生活していけます。

カウンセラー:日本では、実家暮らしの方以外、1人暮らしが主流ですが、シェアでの生活はいかがですか?
将さん:一緒に暮らす「人次第」です(笑)。今は別のところに移ってしまったのですが、以前に、日本、ブラジル、中国、オランダ、インドネシアなどの方たちとシェアをしていて、その時は本当に楽しかったです。ワーキングホリデーでオーストラリアに来ている方たちが多かったのですが、仕事や学校が終わって帰ると、特別なことではないのですが、いろんな話をしました。冗談を言って笑い合ったり、仕事や学校のことを話したり。いろいろあって解散してしまったのですが、あの時の生活は、英語のいい勉強にもなったし、本当に楽しかったですね。

5、今後の目標と皆さんへのメッセージ

カウンセラー:海外有給インターンシップも、早いもので折り返し地点ですが、今後の目標は?
将さん:今、オーストラリアに来て8ヵ月目。ようやく「これから!!」という感じなので、もっともっといろんなことを学んで、経験して、オーストラリアでの生活も楽しんでいきたいと思っています。プログラム修了後のことはまだ明確に決めているわけではありませんが、学んできた英語を生かすも殺すも自分次第なので、引き続き学びつつ、やはり当初の目的だった国際協力活動での途上国支援にいつかチャレンジしたいと考えています。

カウンセラー:最後に、これから留学される方、今、悩んでいる方へメッセージをお願いします。
将さん:一番難しいですね…(笑)

私は、留学を決めてからとても短いスパンでオーストラリアに来ました。そして、時にはこういうことも大切なんだなと感じているし、やはり自分のやりたいことをやるのが一番だと思います。
ただ、だからと言って、気持ち的にも状況的にもすぐに決断できる方ばかりではないと思います。
でも、悩みすぎると、自分で自分の可能性をつぶしてしまうし、そこで夢も終わってしまいます。

悩みながらでも、迷いながらでも、インターネットで情報収集したりカウンセリングや説明会に行ってみたり、行動してみることをおすすめします。踏み出せることから踏み出して、地盤を作り、周りの環境を固めていけば、行動してきた自分にも自信が持てるようになるし、それが勇気に繋がっていきます。

頑張ってください!