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医療者向け英語試験
OET リスニングテスト攻略のコツ
ここでは医療者向け英語試験OET(Occupational English Test)のリスニングテストについてその概要と攻略のコツを解説していきたいと思います。海外で看護師として働きたいと考えている方、必見の記事となっています。OETの概要について知りたい!という方は「医療者向け英語試験OETとは」も合わせて読んでみてください。
※注意事項:2024年11月時点の情報です。最新情報はOET公式ホームページをご参照ください。
OETリスニングテストの構成
OETのリスニングテストは、A・B・C、3つのパートから構成されていて、合計で42問あります。トピックは医療に関する一般的な内容で、すべての職種の受験者が共通の問題を受験するようになっています。
リスニングテストの長さは約40分間です。それぞれの問題が1回ずつ流れますので、問題を聞きながら答えを書いていきます。
3つの全てのパートに共通することは、さまざまなアクセントが使用されている点です。用いられている主なアクセントは、オーストラリア、イギリス、アメリカ、ニュージーランド、アイルランド、カナダ、南アフリカなどになります。これはOET受験者が、将来的にグローバルな環境で医療従事者として活躍することを想定しているためと言われています。聞き取りにくい、聞き取りやすいなど、アクセントによって感じ方はさまざまかと思いますが実際に海外の医療現場では英語のアクセント如何にかかわらず、円滑なコミュニケーションをとる必要があります。苦手なアクセントなどは早めに克服して、将来に備えたいですね。
3つのパートを一つずつ説明
次にリスニング問題のABC、各パートの説明をしていきます。まずABC各パートの内容を早見表にすると以下のようになります。
一つずつ解説していきます。
リスニングABC各パート 概要早見表
パート | 時間 | 設問数 | 問題形式 | トピック数 | 各トピック長さ | トピック内容 |
---|---|---|---|---|---|---|
A | 約15分間 | 24問 | 穴埋め | 2(各12問) | 約5分間 | 診察中の会話(医療者と患者) |
B | 約10分間 | 6問 | 三択問題 | 6(各1問) | 約30秒-1分間 | 医療現場で想定されるさまざまな会話 |
C | 約15分間 | 12問 | 三択問題 | 2(各6問) | 約5分間 | 医療学術的な内容(疾患症例説明・ケーススタディ等) |
パートA
パートAの所要時間は約15分間です。設問数は24問。問題形式は「穴埋め」です。トピック、つまり流れる会話は2種類あり、それぞれの会話に対し12問ずつ問題が用意されています。1つの会話の長さは大体、5分間程度です。主な会話の内容は、診療中の医療者と患者の会話です。パートAで評価される内容は、診察中に特定の情報を識別する能力です。診察中の医療者と患者の会話からえた情報をもとに医療者側のメモを完成させましょう。会話内で登場する医療従事者は、OET受験可能な12の職業のうちのいずれかです。
ポイント
・診察中に特定の情報を識別する能力を評価
・主には医療従事者と患者の会話が題材
・会話に登場する医療従事者はOET受験可能な職種12種のうちのいずれか
では、パートAの具体的な問題をみていきましょう。
今回のサンプルは消化器科の医師と患者のアンドリューさんの対話です。テストが始まる前に30秒間、メモを読む時間があります。この時間をどう使うかがPart A攻略の鍵となりそうですね。問題の詳しい説明・解説に関してはまた別の機会に紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。
パートA 具体例 – 診察内容の抜粋
パートA 演習問題 – 解答と解説付き
演習問題 #1-6
OET公式 Sample Test 1 Part A(1-6問目)をベースに演習問題を出題。その解答と解説を日本語で丁寧に行っています。
演習問題 #7-12
OET公式 Sample Test 1 Part A(7-12問目)をベースに演習問題を出題。その解答と解説を日本語で丁寧に行っています。
※OET対策講座をフルバージョンで視聴したい方は医療者向け動画講座を配信するMEDISTUDIO「【医療英語】OET対策」をご参照ください。
パートB
次にパートBをみていきましょう。パートBの所要時間は約10分間、設問数は全部で6問です。問題形式は「3択」です。30秒から1分程度の短い会話が6つ流れ、それぞれの会話に対し問題が用意されています。会話の内容は医療現場で想定されるさまざまな会話です。もう少し具体的に言うと、トピック、つまり会話の内容は診察時の会話に限らず、ミーティング時の会話やシフト交代時の申し送り、その他医療従事者と患者の対話など、医療現場で想定されるさまざまな会話となります。ここで評価されるのは医療現場で行われる短い会話内容の詳細、要点、意見、目的を特定する能力になります。
ポイント
・トピック=会話の内容の幅が広い
・会話の詳細、要点、意見、目的を特定する能力を評価
パートBのサンプル問題をみていきましょう。今回のサンプルでは視能訓練士と患者がコンタクトレンズに関して話しています。設問はこのサンプルのようにシンプルな表現が多いです。
パートB 具体例 – 職場での短い会話内容の抜粋
パートC
最後にパートCをみていきましょう。パートCの所要時間は約15分間、設問数は全部で12問です。トピックは大きく2つにわかれ、それぞれに対し6問ずつ問題が用意されています。1つのトピックは約5分間です。トピックの内容は、疾患症例の説明やケーススタディの解説など、医療学術的な内容がメインになります。パートCでは、パートA、Bと異なり「会話」ではなく、医療に関する専門的な内容のプレゼンテーションやインタビューになります。よってここではプレゼンテーションやインタビューの内容を理解する能力が評価されます。トピックは幅広く、ヘルスケアに関するさまざまな内容について2種類の話を聞くことになります。パートCはリスニングテストのパートのなかで最も難しいパートと言われています。早めに傾向を把握し、対策を講じていきましょう!
ポイント
・プレゼンテーションやインタビューを理解する能力を評価
・ヘルスケアに関するさまざまなトピック
・A・B・Cのなかで最も難しいと言われるパート
パートCのサンプル問題をみていきましょう。今回のサンプルは癌の専門看護師であるサンドラさんによる、前立腺癌のプレゼンが題材となっています。
パートC 具体例 – プレゼンテーション・インタビューの抜粋
リスニング パートごとの
点数の配分
各パートの構成と特徴を掴めたところでテストの点数に関して説明していきたいと思います。
点数の配点はいたってシンプル!1問につき1点で計算されています。つまり、パートAが24点、パートBが6点、パートCが12点となります。
パートごとの配点
パートA: 24点
パートB: 6点
パートC: 12点
資格取得するためのベースラインである「B」を獲得するためには何問正解すればいいかが気になるところですよね?
あくまで参考値ですが、Bを獲得するためには通常42点中30点以上のスコアが必要とされます。「12問間違えても大丈夫」「約7割強の正答率でパスできる」と考えれば傾向と対策も組みやすそうですよね。「あくまで参考値として..」と説明した理由は、リスニングテストでは毎回新しい内容が出題され、各テストの正答率など「難しさ」に応じて、合格点を調整しているためです。つまり「B」 を獲得するために必要な点数は30点のときもあれば、29点や31点のときもあるのです。ただ、目安としてのベースラインは覚えておくと試験結果を見たときに自分がどれだけ正解したか、今後どうするべきか考察することができます。必ず覚えておきましょう。
OETリスニングテストの
解答方式(穴埋めと選択問題)
解答方式は冒頭でもご紹介したように、パートAが穴埋め式、BとCは三択問題となっています。三択問題は選択肢のなかから解答を選択するだけなので、方式的には難しくないとは思います。一方、穴埋め式となると「単語のつづりを間違ったら減点されるの?」「糖尿病をDMと略語を用いて解答してもいいのか?」など気になる点が出てくると思います。ここではそんな気になる点についてお答えしていきますね。
Q, テスト中にリスニングテストの答えを
チェックする時間があるか?
答えは… あります!パートごと最後に2分間、解答をチェックする時間が用意されています。
2分って短いな‥と思われた方も多いと思います。実際、各会話一度だけしか聞くことができないため、リスニング中は、どこかに答えをメモをして、最後の2分間で解答欄を埋めよう・・なんて思っていると明らかに時間がたりません。なので、基本的には問題を聞きながら、解答欄に答えを書き込んでいきましょう。当然、回答欄以外に書かれた答えは採点されないので注意してください。
ではこの2分間はどうやって使うといいのか?具体的な使い方の例をあげてみましょう。
例えば穴埋め式となるパートAの場合、答えが「マラリア」だとわかってもスペルが”R”なのか、”L”なのか、それともここの部分が”Y”なのか‥と悩み、手を止めてしまう‥ゆえに次の問題のリスニングにも支障をきたす‥なんてことがあります。こういうときは、一旦解答欄にメモを入れておき、最後の2分間で、スペルチェックするようにすると、その後の問題に影響が出にくくなります。こんな風にあくまで予備の時間として使えるようになることをお勧めします。
実際にテストを受験する前に、模擬テストを利用して、さまざまな問題形式に慣れておくといいと思います。
Q, 聞いたことをそのまま書く必要がありますか?
答えは..パートAのみYESになります。
Aの回答は必ず「聞こえる英語」の中にあります。同時に、パートAのコンサルテーション・問診では、リスニング内容と同じ言葉を使ってノートに記入しなければなりません。情報を言い換えたり、情報を変更してはいけません。ちなみに、問題文の中にある「目に見える英語」はあえて「聞こえる英語」、つまり会話の音声のなかでは言い換えされていることが多いため、「目に見える情報」に惑わされず、英語を聞くことが一つのコツと言えます。
Q, 穴埋め問題に答える際、
略語を使ってもいいですか?
答えは..避けたほうが無難です。
例えば、血圧を表す “BP” のように、いずれの医療従事者の間でも共通言語のごとく使われる略語であれば問題はないとされています。但し、特定の職場や専門分野に特化した略語は、一般的に理解されない可能性があるため、避けたほうが無難なのです。OETを採点する側は、適切な範囲の略語を受け入れるようにトレーニングされていますが、OETは特定の辞書やリストを参照していないそうなので、略語は利用しないほうが賢明です。
Q, リスニングテストで間違った情報や余分な情報を回答した場合、点数になりませんか?
答えは..パートにより異なります。
注意すべきはここでもパートAです。パートAでは、リスニングで聞いた内容と同じ単語や短いフレーズを使ってノートを完成させる必要があります。メモの単語を繰り返し使用したり、リスニングの内容にない情報を追加したり、またその内容が矛盾していたり、意味が不明瞭だったりすると、点数にはならないそうです。ですので自分の得意とする医療分野の問題が出題されたときに、自分の医療知識から解答を導き出すと加点されない可能性があるため十分に気をつけましょう。OETは医療知識を試すテストではなく、あくまでも英語力を審査するテストであることを再度覚えておいてください。
Q, スペルミスで減点されますか?
答えは..これは嬉しい話なのですが、他の医療従事者にとって意味が明確であれば、スペルミスでペナルティを受けることはありません。正しい答えを書こうとする試みは、認められる可能性が高いそうです。
例えば、疾患名や薬は綴りが難しいことがよくあるので、これらのスペルミスによって受験者に不利益が生じないように配慮されているそうです。採点する側は、スペルミスの許容範囲について採点ガイドを基に採点しており、リスニングでは薬の一般名とブランド名、および診察中に話し合われた学術的な医学用語と一般用語の両方が参照されます。これはあくまでもリスニングテストにおけるスペルミスの採点基準ですので、リーディングおよびライティングテストとはスペルミスの採点方法が異なることに注意してください。
攻略のコツ5選とは
いよいよ気になる攻略のコツをお話していきたいと思います!
OETのリスニングテスト攻略のコツは次の5つです。
1.ナレーション時間を上手に使う
2.文法による予測
3.類義語・フレーズ
4.消去法
5.模擬練習・復習
1.ナレーション時間を上手に使う
OETに限ったことではありませんが、どのテストでも必ず、ナレーションの時間があります。ナレーションでは、基本的に、そのパートの出題方式や所要時間など、問題をとく上で必要な情報が流れます。
つまり、事前に問題の概要を把握しておけば、ナレーションを聞く必要はなく、一足先に問題とその選択肢を読み始めることができるのです。問題や選択肢を読みながら、同時並行で音声を聞き取るというのは日本語でも相当難しいですよね?ナレーションの間に、少しでも早く問題とその選択肢を把握することができれば、その分、出題される音声の聞き取りに集中することができます。事前に「何に注力して音声を聞くべきか?」を認識することで、正答率を向上させる事ができるでしょう。
2.文法による予測
これは特にパートAのような穴埋め問題に関していえることですが、英文法をきちんと学んでおくことで、穴埋めすべき項目の前後の文脈を読むだけでも、該当する品詞などある程度予測することができます。簡単な例で言うと空欄の前に冠詞 ”an”があれば、その後に続く単語は母音で始まる単語であるということが予測できます。また、品詞も「名詞」または「形容詞」がくるであろうことがわかります。
3.類義語・フレーズ
一般的な傾向として、リスニングテストでは問題文に記載されている単語やフレーズの類義語が解答に反映されるケースが多くみられます。
例えば今回紹介したサンプル問題のパート A、1問目には”over long period”の記載があります。ただ、音声上では”for many years”と言いかえられています。この”over long period”と”for many years”のように、同じ意味でも複数の言い方があります。単語やフレーズを覚える際に、類義語や同義語を合わせて覚えていくとよいでしょう。
これは私見ですが、問題にある英単語や表現と一字一句変わらない言葉が選択肢のなかにあるときはひっかけ問題であることが多いように感じます。その点も含めて注意して聞きましょう。また、パートAとBでは医療者と患者、というよりもネイティブ同士の会話を想定しているため口語調、つまり句動詞が多用される傾向にあります。
具体的な例を出すと
「続く」は “Continue” ではなく “Go on”
「消えた」は “disappeared” ではなく “cleared up” などが該当します。こちらも重点的に勉強しておくと良いでしょう。
4.消去法
消去法はPart Cのような長い問題のときに有効です。日本で受験勉強された経験のある方は既にご存知だと思いますが、Part Cのように難しい問題だと、「間違いを探す」よりも「正解を探す」方が難しい場合があります。つまり、正解を見つけようとするのではなく、間違いを選択肢から排除したほうが正解する率が高くなる場合があるということです。実際に三択問題では一つだけでも「間違い」を見つけられれば正答率は50%になりますもんね!
5.模擬練習・復習
経験に勝るコツはありません。いくら他のコツを知っていたり・覚えたりしていても、実際に使用することができなくてはなんの意味もなく、効果も期待できません。ですので、今回の動画で学んだ知識・コツを模擬テストで繰り返し試してみて、実践で結果をだせるように準備しておきましょう。
まとめ
【動画あり】
いかがでしたでしょうか? 今回はおおまかにOETのリスニングテストの概要を説明しました。これからOETを受験しようと考えている方のお役にたてれば嬉しいです。今後は、ABCパートごとの対策方法や、リスニングテスト以外にも、リーディング、ライティングテストに関する情報を紹介していきます。海外で医療者として働きたいと考えている方にとって有益な情報を掲載してまいります。