アメリカでナースプラクティショナー[診療看護師]になる方法まとめ【2024年版】

更新日:2023年6月29日

看護師さんが今後のキャリアを考えたときに、ナースプラクティショナーという職種を選択肢に入れる人も多いのではないでしょうか。ただ、日本ではまだナースプラクティショナーの受け入れ体制が整備しきれていないこともあること、また海外発祥であることから、海外でナースプラクティショナーの資格を取得して働くことを考えるひともいらっしゃるかと思います。こちらのページでは、ナースプラクティショナー発祥の地でもあるアメリカでナースプラクティショナーとして働く方法をご紹介します。

アメリカでナースプラクティショナー
として働く方の話を聞いてみよう!

現在、アメリカでナースプラクティショナーとして働く毛受様より、アメリカでのNPの役割や業務内容、アメリカでの看護師資格、そしてNP資格取得までの道のりについてお話しいただいています。実際に仕事をしている様子も一部ご覧いただくことができます。

※続きは医療者向け動画講座サービスを提供するMEDISTUDIOでご視聴いただけます。

アメリカでナースプラクティショナーに
なる方法


アメリカでナースプラクティショナーになるためには、大学院で看護分野の修士課程もしくは博士課程を修了する必要があります。そのため、現在看護学位を持っていない方は、まず看護学位の取得を行います。その後、NCLEX-RN*の受験・合格を経てアメリカの正看護師資格を取得します。無事に正看護師資格が取得できたら、次に専門分野を定めて大学院でナースプラクティショナーのコースを受講して修士号もしくは博士号の取得を行います。大学院を卒業したら、各専門領域**に特化した認定試験を受験し、合格をしたら州毎の規定に基づいて高度実践看護師(APRN)の免許を取得します。専門領域によって認定試験を提供している団体が異なります。複数の団体から認定を受けることができる専門領域の場合は、試験費用や合格率、認定更新のしやすさや就職の優位性などを軸にどの団体から認定を受けるのか決めるのが良いでしょう。専門領域は多岐に渡り、1番幅の広い領域を専門としているのがFamily Nurse Practitioner(FNP)で、新生児から老年まで診ることが可能です。

*NCLEX-RN (National Council Licensure EXamination-Registered Nurse)とはアメリカの国家試験です。受験するためには、資格を発行する州、並びにアメリカの各領土(アメリカ領サモア、グアム、北マリアナ諸島連邦、米領ヴァージン諸島やコロンビア特別区)の看護協会(Board of Nursing)に受験申請し許可を得る必要があります。

**専門領域の種類
成人急性期/成人慢性期/新生児/小児/精神/婦人/外来 など

ナースプラクティショナーとして働くまでの流れ

看護学位取得

NCLEX-RN合格・正看護師資格取得

大学院入学
(Master of Science in Nursing)

大学院卒業

希望職種に特化した試験を受験
(NP Certification Board Exam)

州毎の規定に基づき
ナースプラクティショナー登録

ナースプラクティショナーとして就労開始

ナースプラクティショナーコースを
提供している大学の紹介

ナースプラクティショナーのコースを提供している大学は、アメリカ全土に渡ってあります。自分自身がどの州でナースプラクティショナーになりたいのかに合わせて大学を選定しましょう。こちらでは、看護師資格取得の際にCGFNSが不要なカリフォルニア州と英語力証明が不要なニューヨーク州に絞って、最も幅の広い領域を診ることができるFamily Nurse Practitioner(FNP)のコースを受講できる大学を紹介します。

カリフォルニア大学サンフランシスコ

カリフォルニア・サンフランシスコに本部を構えるカリフォルニア大学群の1校です。人口増加に伴い医療需要が増加したという背景から設立された大学ということもあり、看護分野においても他大学と比較してレベルの高い大学です。Best Nursing Schools2022のBest Family Nurse Practitioner Programsにおいて、3位にランクインしています。その他専門領域においても上位に位置しています。留学生でもまだ手を伸ばしやすい授業料帯です。

期間 2年間
入学条件 看護学位を取得している
GPA3.0以上の成績を取得している
アメリカの正看護師資格を保有している
IELTS7.0相当
費用 約340万円 /年*(2022年)
コースページ Master of Science Program Family Nurse Practitioner

ニューヨーク大学

ニューヨーク・マンハッタンにキャンパスを構える私立の総合大学です。QS世界大学ランキング2022では、東京工科大学や大阪大学よりも上位の42位にランクインしています。看護分野においては世界第15位と非常にレベルの高い大学であり、直近5年で順位を10位も上げています。Best Nursing Schools: Master’s2022においては、15位に位置しています。名門大学ということもあり、費用感は高めです。

期間 2年間
入学条件 看護学位を取得している
GPA3.0以上の成績を取得している
アメリカの正看護師資格を保有している
IELTS7.0相当
費用 約530万円/年*(2022年)
コースページ The NYU Rory Meyers Family Nurse Practitioner Master’s

*為替レート140円/ドルで計算しています。

アメリカのNP – 業務内容


ナースプラクティショナーは、病状の記録、患者の身体検査、治療計画の作成、薬剤処方、画像診断など、医師の監督がなくても診察・診断、治療のオーダーを行うことができます。行える医療行為は州ごとに異なります。

例えば、がんの診断などもナースプラクティショナーによって行うことができるため、医師の診察を待たなくてもナースプラクティショナーよりがん治療のチームに状況を伝え、治療を開始することも可能です。アメリカは医師不足が続いていますが、ナースプラクティショナーがいることにより、医師の診察を待たずに患者さんが早めに治療を開始できるようになっています。また、州によっては、ナースプラクティショナーでも自身でクリニックを開業し、ナースプラクティショナーのみで診療・診断を行うことができます。患者に使う時間が医師と異なり長く患者の満足度も高いことから、医師よりもナースプラクティショナーに診てもらいたいという患者も多いと言われています。

アメリカのNP – 給与


アメリカのナースプラクティショナーは年収制です。2021年に米国労働局が発表しているデータでは、ナースプラクティショナーの平均年収はUSD118,040となっており、日本円で表すと1,500万円を超える額となっています。職場別では、Home Health Care Services(在宅医療サービス)やPsychiatric and Substance Abuse Hospitals(精神・薬物依存病院)はUSD130,000(日本円で約1,700万円)を超える高い数値となっています。

勤務場所 年収
General Medical and Surgical Hospitals
一般医療・外科病院
USD122,960
日本円約1,640万円
Home Health Care Services
在宅医療サービス
USD133,170
日本円約1,780万円
Psychiatric and Substance Abuse Hospitals
精神・薬物依存更生病院
USD131,830
日本円約1,760万円
Outpatient Care Centers
外来診療センター
USD129,190
日本円約1,730万円

まとめ


いかがでしたか?
アメリカのナースプラクティショナーになるためには、アメリカで看護学位、そして看護師免許取得後、大学院へ進学する必要があります。業務内容は看護師よりも医師に近い行為ができるようになり、給与は非常に高いです。大学院入学規定や州毎の看護師登録規定などは変わる可能性がありますので、最新情報を得てプランを立てていきましょう。

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