オーストラリア正看護師認定基準の英語力と試験種別

オーストラリア正看護師協会は、非英語圏(日本を含む)で高等教育を終え、オーストラリアで正看護師登録をするインターナショナルナースに、高い英語力の証明を求めています。命を預かる医療現場で働くことから、高い英語力が基準になることは理解できますが、日本人がオーストラリアで正看護師資格を取るための高い壁となるのが必要な英語力を証明することになります。今回は、オーストラリアの正看護師協会で設定されている英語力基準と採用されている英語試験の種類をご説明します。2018年7月現在の英語力の規定は、2015年7月1日に施行されたルールとなっています。※オーストラリア看護師協会によって随時変更される可能性があります。

英語テスト結果の提出が
免除される場合がある?

オーストラリアの正看護師協会では英語力の証明に関する免除規定を設けています。主に英語圏の国で教育を受けていた方が対象となりますが、高校時代に留学されていた方や帰国子女の方は該当される可能性があります。

条件. 認定されている国で英語の正規教育課程を5年間以上受けたことを証明

認定されている国
オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、アイルランド、南アフリカ、イギリス、アメリカ
正規教育課程に含まれるもの
高等教育(大学・大学院)と高等学校(高校)
高等教育(大学・大学院)と専門学校
高等学校、専門学校と高等教育(大学・大学院)
高等教育(大学・大学院)のみ
※ ワーキングホリデーや語学留学で通う語学学校の期間は加算されない。また対象国以外の教育は算定されない。

この基準で英語力の証明となった実例として、ニュージーランドの高校を卒業後、オーストラリアの大学(看護学部)へ入学し卒業された方がいらっしゃいます。合計5年以上、ニュージーランドの高校正規課程とオーストラリアの大学正規課程を学んだため、英語テストを受ける必要なく各教育機関の卒業証明書と成績証明書を元に看護協会への申請を行い受理されています。

採用されている英語テスト
種別と基本的なルール

オーストラリア看護協会で認定されている英語テストは、IELTS・OET・PTEアカデミック・TOEFL iBTの5種類です。TOEICや日本の英検は対象外となっていますので留意しましょう。5種類あるオーストラリアの正看護師として認定に使うことが可能な英語テストに共通するルールがあります。

ルール 1
提出する英語テスト結果の有効期限

オーストラリア正看護師協会に申請書を提出する日から遡って2年以内に受け取った試験結果を提出することができます。

ルール 2
同じ英語テストであれば2回のテスト結果を加味して判定

6ヶ月以内に受験した2つの英語テストの結果 (足切り点有り)を加えて英語力証明を行うことが可能です。ルール1の有効期限としては1回目のテストが採用されるため、看護協会への書類提出日も注意する必要があります。

IELTSの例

1回目のテスト 2018年1月受験

リーディング リスニング スピーキング ライティング
7.0 7.5 6.5 7.0

2回目のテスト 2018年5月受験

リーディング リスニング スピーキング ライティング
6.5 7.0 7.0 6.5

1回目、2回目ともに一つのテストでは看護協会の定める基準に達していません。しかし、両方のテスト受験日が6ヶ月以内で足切り点(各科目が6.5以上)を超えているため両方のテスト結果を同時にオーストラリアの看護協会へ提出することができ、合格基準に達したと見なされます。

リーディング リスニング スピーキング ライティング
1回目 7.0 7.5 6.5 7.0
2回目 6.5 7.0 7.0 6.5
判定 7.0 7.5 7.0 7.0

英語テストごとの
認定基準と対策

多くの日本人看護師にとって避けては通れないのが、オーストラリア看護師協会が定める英語力をクリアすることです。オーストラリア看護協会に認定されている5つの英語テストごとの基準と概要、対策内容をご紹介します。

IELTS (International English Language Testing System)

アメリカの大学入学に広く利用されているTOEFLに対し、イギリスやオーストラリアの大学や移民に広く利用されてきた英語テストがIELTS(アイエルツ)です。もちろん、オーストラリアの看護留学でオーストラリアの大学入学に使えるだけでなく、看護協会へのスコア提出も可能なテストです。

IELTSの概要

実施団体 ブリティッシュ・カウンシル、IDPオーストラリア、ケンブリッジ大学英語検定機構
試験会場 (日本) 15都市 (東京・札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡等)
試験料金 (日本) 25,380円
試験会場 (オーストラリア) シドニー (複数箇所)・ブリスベン・メルボルン等
試験料金 (オーストラリア) 330豪ドル
試験頻度 ほぼ毎週
試験形態 ペーパーテスト、またはコンピューター(筆記のみ)/ スピーキングは試験官と対面形式
スコア 1.0 (最低スコア) 〜 9.0 (最高スコア)までの0.5刻み
試験結果 10営業日

IELTSのテスト形式

リーディング 40問 60分
リスニング 40問 40分 (30分+10分)
ライティング 2問 60分
スピーキング 3セクション 約20分

オーストラリア看護協会の認定基準

平均点 (Overall) リーディング リスニング ライティング スピーキング
7.0 7.0 7.0 7.0 7.0

テスト合算時の足切り基準 (1科目でも下回ると合算不可)

平均点 (Overall) リーディング リスニング ライティング スピーキング
6.5 6.5 6.5 6.5 6.5

OET (Occupational English Test)

医療プロフェッショナル向けにテストが分けられているオーストラリア発祥の英語テストがOET。看護師向けのテストが用意されており、看護登録のための英語の勉強だけではなく、就労後に使える英語力を身につける効果もあるため、オーストラリアの正看護師登録において人気の高いテストです。2018年9月9日よりOETのテスト内容が変更されます。OET2.0とも呼ばれる変更後のテスト詳細についてご紹介します。

OET新形式 (OET2.0)の概要

実施団体 ケンブリッジ大学英語検定機構、ボックスヒルインスティチュート
試験会場 (日本) 大阪
試験会場 (オーストラリア) シドニー (複数箇所)・メルボルン等
試験料金 (オーストラリア) 587豪ドル
試験頻度 ほぼ毎月
試験形態 ペーパーテストのみ / スピーキングは試験官と対面式
スコア A(450-500)最高スコア / B (350-440) / C+ (300-340) / C (200-290) / D (100-190) / E (0-90) 最低スコア
試験結果 15営業日

OET新形式 (OET2.0)のテスト形式

リーディング 3セクション 40−45分
リスニング 3セクション 40−45分
ライティング 1問 45分 (5分+40分)
スピーキング 2問 約30分

オーストラリア看護協会の認定基準

リーディング リスニング ライティング スピーキング
B B B B

テスト合算時の足切り基準(1科目でも下回ると合算不可) ※2015年−2018年8月まで

リーディング リスニング ライティング スピーキング
C C C C

OET2.0がスタートする2018年9月以降に看護協会の基準が変更される可能性があります。


PTEアカデミック

OETに次いで新しくオーストラリア看護協会やオーストラリア移民局に認定された英語テストであるPTEアカデミック。全てコンピューターを利用してテストが実施されるため、テスト結果が出るのが早いメリットがあるテストです。アカデミック英語に慣れている方にとってはOETよりもスコアが取りやすい傾向にあり、近年注目されている英語試験です。他のテストと比べ出題傾向は定期的に更新される点に注意しましょう。

PTEアカデミックの概要

実施団体 ピアソン
試験会場 (日本) 東京・大阪
試験会場 (オーストラリア / 日本) シドニー (複数箇所)・メルボルン等
試験料金 (オーストラリア) 200米ドル
試験頻度 複数日 (予約は1回しかできないため、実質1ヶ月に1回の受験)
試験形態 コンピューターテストのみ
スコア 各科目10点 (最低スコア) − 90点(最高スコア)
試験結果 5営業日以内

PTEアカデミックのテスト形式

リーディング 出題回によって問題数が異なる 45-57分
リスニング 出題回によって問題数が異なる 32-41分
ライティング 各問題形式から数問出題 77分-93分
スピーキング

オーストラリア看護協会の認定基準

平均点 (Overall) リーディング リスニング ライティング スピーキング
65 65 65 65 65

テスト合算時の足切り基準 (1科目でも下回ると合算不可)

平均点 (Overall) リーディング リスニング ライティング スピーキング
65 58 58 58 58

TOEFL iBT (Test of English as a Foreign Language)

TOEFL iBTはコンピューターベースの英語能力判定テストとして特に日本ではIELTSよりも有名な英語判定テストです。アメリカで広く導入されている他、近年は英語圏の大学入学で課せられる英語判定テストとして世界各国で認定されています。オーストラリアではイギリス発祥のIELTSの方が広く使われていますが、TOEFL iBTもオーストラリア移民局やオーストラリア看護協会で認定されています。過去にTOEFL iBTを勉強されていた経験がある方はTOEFLでチャレンジすることも視野に入るでしょう。

TOEFL iBT

実施団体 ETS
試験会場 (日本) 東京・大阪を含む各都市 (試験会場は多い)
試験会場 (オーストラリア) シドニー (複数会場)、メルボルン等 (試験会場少ない)
試験料金 (オーストラリア / 日本) 235米ドル
試験頻度 複数日 (予約は1回しかできないため、実質1ヶ月に1回の受験)
試験形態 コンピューターテストのみ
スコア 各科目0点 (最低スコア) − 30点 (最高スコア)
試験結果 10日以内

TOEFL iBTのテスト形式

リーディング 3-4セクション 60−80分
リスニング 4-6セクション 60−80分
ライティング 2問 50分
スピーキング 2問 約20分

オーストラリア看護協会の認定基準

合計点 リーディング リスニング ライティング スピーキング
94 24 24 27 23

テスト合算時の足切り基準 (1科目でも下回ると合算不可)

合計点 リーディング リスニング ライティング スピーキング
19 20 24 20

オーストラリア正看護師登録に必要な
英語力をみにつける勉強法

オーストラリアの正看護師認定に必要な英語力は一朝一夕で達成できるものではありません。また、現在の英語力によっても勉強の仕方が変わってきます。

看護大学に編入する方

看護大学への編入が必要な方は、看護大学在学中にオーストラリア看護協会が指定する英語基準をクリアするようなスケジュールを立てましょう。大学卒業後にスムーズに正看護師登録をできるようにすることが大切です。まず、看護大学入学(編入)時に必要な英語力の基準はIELTS6.5または7.0相当です。多くの方は、大学が指定する語学学校を卒業し、みなしスコアで大学に入学することになりますが、大学入学前にIELTSをしっかり勉強し英語の基礎能力を高めておくべきでしょう。大学在学時にはOETまたはPTEの勉強に切り替え基準となるスコアを達成するスケジュールが望ましいです。


オーストラリアの看護免許を直接取得する方

日本で看護学部を卒業されている方は、オーストラリアの看護大学へ編入する必要がありません。

英語力初級者〜中級者 (IELTSで6.5取れる英語力)
焦らず英語の基礎能力 (文法・単語力)を上げていくことに集中しましょう。スピーキングやライティングも英語の基礎能力がなければスコアを落としてしまいます。最初は英単語帳や英文法書を勉強することからスタートすべきです。IELTSの公式問題集を使い、自分で採点できるリーディングとリスニングで概算6.0以上とれるようになるのが最初のゴールです。次に、IELTS向けの教材を使いIELTSスコア6.5を目指しましょう。独学で勉強できるタイプであれば、独学で勉強しスコアを伸ばせば伸ばすほど総費用を抑えることができます。仕事との両立が難しい方やスピーキング経験が圧倒的に少ない場合は、早めに留学し英語環境に身をおいて勉強を進めた方がいいケースもあります。

英語力上級 (認定基準を満たす英語力)
IELTSの公式テストで全科目6.5(ライティングは6.0でも可)を目指します。その後、IELTSからOETまたはPTEアカデミックへ試験を切り替えて認定基準を満たす英語スコア取得を目指しましょう。IELTSを経由する理由は、1.教材が多い、2.受験日が多い 3.アカデミック英語を学ぶのに最適 だからです。焦っていきなりOETやPTEアカデミックに挑戦すると壁にあたってしまう方が多いため、IELTSを経由することが王道になっています。しかし、IELTSはライティングの難易度が他のテストと比較するとかなり高いため、認定基準をIELTSで満たす(ライティングでも7.0を取る)のは現実的ではありません。この点では、OETやPTEアカデミックの方がライティングの難易度が低いため簡単だと言われる所以になっています。

PTEアカデミックの人気は高まっていますが、ワールドアベニューで挑戦されている方の多くが、OETで認定基準を満たしていらっしゃいます。

看護師登録に必要な英語力は高く厳しい道程ではありますが、挑戦し始めればいつか達成できる日が来ます。日本にいる間から独学で学習できる英語の勉強を進めることによって留学期間や留学費用を抑えられますので、早めに動き出し夢を現実に変える一歩を踏み出しましょう。