いつも誰かが支えてくれた。貴重な経験と出会い溢れる看護留学だった

お名前高橋 侑子さん留学期間2016年9月~2017年9月
滞在都市シドニー/オーストラリアインターン先ナーシングホーム

2018年2月、大学編入の入学願書をすでに提出済という侑子さんは、アシスタントナース有給インターンシップ修了後も、さらに高見を目指して前進中。向上心とチャレンジ精神の塊のような侑子さんからご帰国直前にいただいた体験談をご紹介します。

1留学のきっかけ‐カナダワーホリにリベンジ!


実は、今回のプログラムに参加する以前、2012年から2013年の1年間、カナダにワーキングホリデーで渡航した経験がありました。カナダのワーホリでは、語学研修を2ヶ月間、その後はアルバイトをして生活しました。前向きで好奇心旺盛な世界中の友人に恵まれ、とても素晴らしい経験でした。ただ、一つだけ心残りが…。それが、「英語力」でした。悔しいかな、納得のいく英語力の習得はできませんでした。
カナダから帰国後も、毎年のようにカナダに旅行しました。ワーホリや旅行を通じて、いろんな国の友人ができればできるほど、もっときちんと喋れるようになりたい、もっと英語力がほしいと考えるようになったんです。

そこで、リベンジを考えました。
そこで悩んだのが、留学方法です。カナダでのワーキングホリデーで、きちんと目標なくして、英語力を伸ばすことは難しいということはすでに理解していました。「もう一度挑戦するなら、明確な目標を持とう」そう考え、看護関係の留学を調べ始めたのです。もう一度海外に挑戦するからには、海外の大学で勉強したり、海外の看護に触れたりしたい、そして、留学経験や留学で得た資格、学位などを基に世界中を飛び回りながら、世界の医療現場で活躍したい…… そんな目標を持つようになりました。

そこで出会ったのがワールドアベニューのアシスタントナース有給インターンシップです。
このプログラムであれば、オーストラリアの現場で、お給料をもらい働きながら大学編入に必要な英語力を伸ばすことができる!常に座学よりも実践を重視してきた私にとてもフィットするプランでした。

当然、いろんな葛藤がありました。
カナダのワーキングホリデーに出たときは、年齢的にも若かったこともあり、特に抵抗はありませんでした。しかし、今回の留学を決断したタイミングは30歳のとき。看護師としても、より専門性を磨いていく時期のように感じていましたし、実際、昇進・昇給のお話をいただくこともありました。

まさにこれからさまざまな選択肢が増えるという時期に、キャリアを止めてしまって大丈夫なのだろうか……。
海外への思いと、日本でのキャリア… そのはざまで揺れ動いたこともありました。

もう一度海外に挑戦するのでれば、絶対に成功させたい。失敗はしたくない。
誰もが考えることだと思います。挑戦なくして成功はあり得ないということはわかっていても、本当に自分に達成できることなのか…とても不安になったこともありました。

そんなとき、もう一度カナダへ旅行しに行きました。自分の気持ちを再確認したかったのです。
しかし、そんな不安は、カナダ時代の友人たちに会うと、一掃されます(笑)
「侑子なら絶対できる!大丈夫!」と、背中を押してくれたのです。
そのとき、私の覚悟も固まりました。

2退職のとき‐感謝の言葉しかない

気持ちは固まったものの、踏み出すにあたって、もう一つ勇気が必要なステップがありました。

退職の意を上司に伝えることです。

職場の人間関係はよく、師長は私のことを、職場を支える一人のスタッフとしてとても信頼してくれていました。退職するということは、信頼してくれている師長や先輩方を裏切ってしまうように感じたのです。ただ、真実を伝えずに退職するなんてことはもちろんできません。退職を伝えなければならない時期は1日いちにちと近づいていきました。

しかし、実際のところ、心配は無用でした。

実際に話をしに行くと、不安そうにしていた私の顔を見て最初は「どうしたの!?」と心配していた師長でしたが、留学の意思を伝えると、「わかっていたわ」と私のことを抱きしめてくれました。
私の経験や、いずれ海外にチャレンジしたいと話していた私の姿を以前からどこかで見てくれていた師長は、「挑戦したいと思うなら思い切り挑戦したい方がいい。縮こまっていてはダメ。一回りも二回りも成長して帰っておいで!」と言ってくたんです。

どうやら海外に行きたいオーラが溢れでていたようです(苦笑)

私はオペ室勤務だったのですが、退職を伝えた後も、「経験したいオペがあればどんどんいいなさい!」と言ってくれて、「あなたなら大丈夫!」と、なんども勇気づけてくれいました。

留学に踏み出すまでにもさまざまな不安や葛藤がありましたが、前職場の師長を始め、先輩、同僚、本当にたくさんの人々に支えられ、出発の日を迎えることができました。

3いよいよ出発‐感じた日本との違い


いよいよオーストラリアへの出発です。
アシスタントナース有給インターンシップのプログラムでは、まず語学学校に通い、英語力の基礎力を身に付け、次にオーストラリアで働くために必要な知識や技術を学ぶための専門コース、Certificate 3を受講し、その後、現地の派遣会社への登録を斡旋してもらい、アシスタントナースの仕事を開始します。

語学研修

カナダではいわゆる「普通の」語学学校に通っていたので、このプログラムに組み込まれたカランメソッドは、私にとって新鮮な勉強方法でした。普通の語学学校は、文法を中心に勉強しました。しかしカランメソッドでは、教科書にあるすべてを自分の口で発し、その瞬間に発音や単語を一つひとつ理解し、覚えていきます。最初は今までにない勉強方法に戸惑いも覚えました。しかし、「声を出す」ことで、記憶に定着するのか、気が付けば日常生活のなかでも、学んだ表現を使っている瞬間が出てきました。

私は、並行して、メディカルイングリッシュのコースを受講しました。
メディカルイングリッシュでは、痛みの種類や機器の名称など、アシスタントナースとして働く際に必要とされる患者や医療従事者とのコミュニケーションを中心に学びます。

以前の海外経験とは異なる新しい学びが楽しかったことを覚えています。

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約3ヵ月間の語学研修が終わると次はCertificateと呼ばれる専門コースがスタートします。ずっしりとしたテキストが机の上にドサっと置かれた際には「嘘!?これをたった2ヶ月間で!?」とびっくり(笑) 新しいことを学ぶ期待と不安(やや不安より(笑))な気持ちを抱えたことを覚えています。

実際に始まってみると、想像通り(笑)、大変でした。
課題の量は多いし、内容自体がものすごく難しいということはないものの、やはり日本とオーストラリアとの違いもあり、質問の意図が理解しきれないことも多々ありました。しかし、大変そうでげんなりしたか…というとそうではありません。「大変」と感じるということは、自分にとって新しい学びがあるということですし、自分が成長できる機会とイコールです。今目の前にある「大変さ」が持つ学びや成長の可能性にワクワクしながら、挑みました。先生方はとてもフレンドリーで質問をすれば ‘Yes, darling?’ と、快く答えてくれましたし、心強いワールドアベニューの同期とも助け合うことができ、気が付けばきちんと修了することができました。

その後のアシスタントナースとしての仕事にもつながることですが、Certificateを学ぶなかでとても印象に残ったことが2つあります。1つ目は「自分を大切にする」ということ。2つ目は「みんな違ってみんないい」という考え方です。
1つ目の「自分を大切にする」ということ。それは実習の際に先生からいただいた一言で、「彼ら(患者)も大事。だけど、あなたも大事」というものです。これは、つくすことが美徳である日本の看護とは、まったく異なる価値観で、とても感動しました。
2つ目の「みんな違ってみんないい」という考え方は、オーストラリアという多文化多国籍ならではの考え方だと思います。例えば、「なぜ豚肉を食べないのか」「なぜ、祈るのか」、その理由も思いも、物事に対する考え方や価値観も、十人十色。オーストラリアの人々は、互いの違いを受入れ合い共存しています。

「自分の物差しでジャッジしない。他人の物差しでジャッジされない。」
頭でわかっていても、実際に体感するとやはりなんとも不思議な気持ちになったことを覚えています。
ただ、日本ではなかなか体感できることではないので、貴重な体験、学びでした。

アシスタントナースとして、働きだして…
私は年齢的なこともあり、1年間の留学でした。よって、Certificate修了後、即働き始めました。
もともと仕事は好きなので、久しぶりに働いて、あらためて、「働くって楽しい!!!」と感じました(笑)。

オーストラリアで働いてみて、感じたことはいろいろあります。

例えば…
・オーストラリア人は意外と働き物!(失礼)
・クイックシャワーが本当にクイック!
・正看護師だったからこそ気が付けたことがある
・患者との距離の置き方の違い などなど、いろいろです。

・オーストラリア人は意外と働き物!(失礼)

オーストラリアに限らずですが、海外の人って、夕方の3時、4時頃からパブでの飲んでいるイメージありませんか? そんな話を聞いて、夜遅く9時、10時まで働いている日本人とは大違い…なんて思ったことがある方も多いのではないでしょうか。働いてみて気が付いたのですが、オーストラリアの人たちは、確かに終わりも早いですが、始まりがとても早いんです。例えば、私の日勤のスタート時間は早朝6時でした。そこから一気にシャワーを入れ、身支度をし、食事。昼過ぎからはだいぶのんびりとした時間が流れ、午後2時、3時には仕事が終わります。残業はなし!早く終わって家族のもとに帰り、家族団らんを楽しむ……。
私たちが知らない、早朝からバリバリ働くオージーの姿がありました。

・クイックシャワーが本当にクイック!

そもそもお風呂にゆっくりとつかる…なんて文化のないオーストラリア。乾燥しているせいか、シャワーすら数分で終わり…なんてことも珍しくありません。とはいえ、どんなにクイックなシャワーでも、日本人感覚だと10分程度のイメージだと思います。これが、オーストラリアの場合、本当にクイック!なんと1~2分程度なんです(笑)。あまりにもクイックすぎて、最初は、本当に驚いてしまいました。

ただ、やはり日本人。いくら水が大切だと言われても、さすがに患者さんのクイックシャワーを1~2分で終えることはできません。先述した通り、みんな違ってみんないい精神なので、私は私がいいと思うやり方を貫きました(笑)。結果、患者さんはとても喜んでくれました。日本人のホスピタリティは海外でもとても高く評価されるんだな…とうれしく感じた瞬間でした。

・正看護師だったからこそ気が付けたことがある

ある日、ダブルワークといって午前シフトと午後シフトを同日にこなした日のことです。
午前中には話せていた患者さんが、午後になってめっきり口数が少なくなってしまったんです。他のスタッフはその患者に対して「今日はあまりお話しないね…」という程度だったのですが、他の身体症状の変化などを加味し、やはりこれはおかしい…と感じ、正看護師を呼びました。結果、脳梗塞。病院へ緊急搬送された患者さんは、早期の治療により一命をとりとめました。
仕事自体は助手ですが、正看護師としての経験がなければ、なかなか気が付けなかったことだと思うと、今までのさまざまな努力に感謝したくなる瞬間でした。

・患者との距離の置き方の違い

本人が「嫌だ」ということに対して、オーストラリアでは基本的に無理強いすることがありません。例えば、どうしても薬を飲みたくないと言い張る患者さんがいたとします。日本であれば、あの手この手で飲ませようとしますが、オーストラリアでは無理強いしません。いったん時間を置き、再チャレンジします。患者さんへの勇気付けも含め、距離感や対応の仕方に違いを感じました。よい点、悪い点あるとは思いますが、私にとっては、こんなアプローチの方法もあるのだな…と勉強になる面もありました。

お給料はしっかりともらえました。
一時期は、午前と午後のシフトを同日にこなすダブルシフトをしていた時もあります。そんなときは1週間で手取り1,300ドルから1,400ドル(日本円で12万円程度)もらうこともありました。ただ、時給が高いので、普通に生活するためには週2~3日働けば十分です。
必要に応じて、稼ぎつつ、1ヵ月後にご褒美で〇〇をしよう、3ヵ月後には、□□をしようと小さな目標と楽しみを持ちながら、日々のオーストラリア生活を満喫しました。

4いつも誰かが助けてくれた


もちろん、大変だったこと、辛かったこともあります。
オーストラリアに来て、最高に辛かった…というか落ち込んだのは、最後のチャレンジしたIELTS対策です。
アシスタントナースで稼いだお金を学費として充当して、今後の大学進学に必要なIELTSのスコア取得のため、改めて本格的な勉強を再開しました。

IELTS対策コースで勉強し始めたとき、周囲のレベルの高さに愕然としました(苦笑)。私も、同じクラスに入っているので、当然クラスメイトと同じレベルの英語力はあるはずなのですが、どうにもこうにも周囲の英語力に圧倒されてしまったんです。今まで苦しかったことや大変だったこと、苦労したことを振り返り、それでもまだまだ足りなかった…という事実を突きつけられ、悔しいし、辛いし、不安だし、情けないし…と感情の渦に飲み込まれそうになりました。

ただ、そんな風に辛かったときは、いつも誰かがそばに入れくれました。
一度落ち込んでから這い上がると強い私は、この落ち込みをばねに、今回の大学編入を諦めずにやりきろうと心新たに決意しました。

オーストラリアに来る前もそうですが、オーストラリアに来てからも、本当にたくさんの人々に支えてもらっています。渡航当初、4週間のホームステイをしていたときも、シェアハウスに移動したときも、Certificateを受講していたときも、仕事を始めたときも、そして、オーストラリアで最も落ち込んだ、新しいチャレンジをしたときも…… いつもいつも誰かが支えてくれたんです。

オーストラリアでの生活

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ホームステイやシェアで一緒に生活した子たちは、タイ、ニューカレドニア、イタリア、韓国、シンガポール、日本とさまざまな人たちでした。イタリア人の友人とは、イタリア帰国前に、ポーランドの友人も一緒になんと日本旅行を楽しんだりもしました(笑)

5これから看護留学される方へのメッセージ


私は、オーストラリアの留学にチャレンジして、学んだことがたくさんあります。

なかでも強く感じているのは、こんなことです。
Be confident – 自分に自信をもつこと
まず、この留学にチャレンジしようと決めたことに自信をもつべきだと思いました。

Be patient – 時に我慢強くあること
オーストラリアという異国の地で、異文化の中で楽しむ力は、同時に時に我慢強くあることも大切だと思います。

Continue to challenge – 今に安住せず、チャレンジし続けること
IELTSの勉強にチャレンジしたとき、今まで努力して築いてきた自分を否定しなければならない瞬間がありました。でも、そうやって、常に上を向いて階段を這い上がることで、人は成長できるんだと感じた瞬間でもありました。

Be yourself – 私らしく、自分らしさを大切にすること
異文化のなかでもみくちゃにされても、自分らしくあり続ける強さはとても大切だと思います。この気持ちは、どの国にいても、どこで生きていても、忘れてはいけないし、大切にしていきたいと改めて思いました。

看護インターンにチャレンジしたいと思っている方、すでに心に決めた方。
この体験談を読んでくださっている方は、いろんな思いを抱えていると思います。
自分にできるのかどうか、不安だ…という方も多いでしょう。
そんな時、目の前の不安にとらわれず、どうか勇気を出して、少し前を見て、一歩踏み出してみてください。見たことのない風景が広がっているし、知らなかったことを山のように知ることができます。

踏み出した1歩は、必ず、あなた自身の大きな成長につながるはずです。
目の前の扉を勇気をもってぜひ開いてみてください!