自分を信じて前に進むことの大切さを改めて教えてくれた看護留学

お名前菅谷 綾子さん留学期間2015年12月―2017年12月
滞在都市シドニー/オーストラリアインターン先ナーシングホーム

認知症の利用者さんの旦那さんが、「ハニー」と奥さんを呼び、口紅を塗ってあげている姿を見て、「あぁ、看護留学にチャレンジしてよかったな」と思いました。と優しい口調でお話ししてくださった綾子さん。2010年から2011年にカナダのワーキングホリデーに渡航していた綾子さんは、他のお客様とは異なるイレギュラーなスケジュールでの看護インターンとなりました。最初の一歩からいろいろハードな経験をされた綾子さんの体験談をインタビュー形式でご紹介します。

1やはり海外で看護に携わる経験をしたい!

カウンセラー: 綾子さんは、カナダでのワーキングホリデー経験があるんですよね?
綾子さん:はい。看護師としての臨床経験3年目のとき、カナダのワーキングホリデーに行きました。2010年から2011年の頃の話です。もともと、海外旅行が好きで、英語ができたら世界が広がるんだろうな……と感じていて、国際協力活動に興味があったのも一つの理由です。

カウンセラー: カナダでのワーキングホリデーはいかがでしたか?
綾子さん:楽しかったです!
アルバイト先は日本食レストランで、時給は10ドル前後とオーストラリアでのアシスタントナースのように高額時給ではありませんが、チップがかなりよくって、まかないが出るので食事にもあまり困らなくて…(笑)もちろん、他国の方、特にメキシコの方なども多かったので、他国の友達もでき、今でもつながりがあります。
ただ、残念ながら英語力は、もともとイメージしていたよりも伸びなかった…というのが現実です。カナダでは約4ヵ月間語学学校に通いました。アシスタントナース有給インターンシップで通うカランメソッドのような特殊な勉強方法ではなく、普通の語学学校です。私が通った語学学校は日本人も多くって、授業時間中、全然喋りませんでした。

カウンセラー: もう一度、留学したいと思ったきっかけは?
綾子さん:英語と看護ですね。
カナダから戻ってきて、カナダに留学する前よりも病院の規模などレベルを上げて仕事をし始めました。大変だったけれどやりがいもあってあっという間に時間が過ぎていきました。
忙しいなかでも、やはり海外で看護にチャレンジしてみたい、英語力をもっと伸ばしたいという思いがあって、あらためて留学を考え始めました。ただ、カナダでの経験があるので、普通のワーホリはもういいかな……と。そんなとき、ワールドアベニューのアシスタントナース有給インターンシップを見つけました。頑張りきれるのかな……と不安はありましたが、海外の現場で経験をつむことができるというところに魅力を感じ、アシスタントナース有給インターンシップにチャレンジすることを決めました。

2 渡航直後からファームへGO!!!


注意)原則、語学研修、Certificate修了後、ファームへのご参加いただいております。

綾子さん: セカンドワーキングホリデービザを取得するために、政府が指定する就労(農業(ファーム)など)を約3ヵ月間以上しないといけません。私の場合、アシスタントナース有給インターンシップを申込し、渡航するタイミングで29歳でした。本来なら、語学研修とCertificateを経た後にファームに出るのですが、この流れでいくとセカンドワーキングホリデービザの申請が間に合いません。そこで、かなりイレギュラーにはなるのですが、語学研修の前にファームに行くという荒業を使わせてもらいました。(笑)

カウンセラー: 覚えています!
しかも綾子さんがご渡航されるタイミングは、セカンドワーホリホリデービザ申請に伴う要項に変更があった時期で、ウーフ(衣食住は提供してもらえて、基本的に有給のファームと比較すると簡単な仕事が多い。ただし、基本的に無給)では、セカンドワーキングホリデーの申請条件として認められなくなり、給与明細がきちんとでるファーム(有給で衣食住は基本的に自己負担)を必ず行わないといけなくなったタイミングでしたよね。

綾子さん: そうなんです。本当にいろんなことが重なって、ある意味本来なら難しいイレギュラーなケースにも対応いただけたのはラッキーでした。
とは言え、かなりいろんなものが差し迫っていて、仕事は出発の3日前までしていたし、オーストラリア到着後、たった1週間でファーム先を見つけて、移動。その後オーストラリア全土がクリスマスホリデーという、すごい状況でした(笑)。

カウンセラー: 本当に強行スケジュールでしたね…(笑)
ところで綾子さんはどんなファームに行かれたのですか?

綾子さん: ファームはビクトリア州に行きました。フルーツピッキングとパッキングを主とした仕事で、果物や野菜以外にも花(ユリなど)をつむことがあって、日本では絶対にしないであろう、さまざまな経験をすることができました。
ファーム中はアジア人対ヨーロッパ人が50%:50%の環境で、日本人は2人のみでした。私たち日本人以外は、オランダ人、イタリア人、フランス人、中国人、台湾人などさまざまで、一個人農家に派遣(?)されるような感じで、働きました。ファーム先では、イタリア人と台湾人の子と仲良くなり、イタリア人の子にピザを作ってもらったり、誕生日に手巻き寿司パーティーをしたり、お互いの国の食事を提供しあい異文化の中での食生活を堪能。他にも、土日は休みだったので、グレートオーシャンロードやナショナルパークに遊びに行ったりもしました。

お互いになんですけど、そこは農場なので、いろんな道具が足りず、イタリア人の友人がピザを作ったときはオーブンがすごいことになっていたし、私たちも手巻き寿司とはいうものの、生魚を使うことが怖くって、結局巻くのはウインナーやアボカドなどでした(笑)でも、そういうこともひっくるめて楽しかったです。

カウンセラー: うわーーーーーーー!楽しそうですね!
でも、仕事ですし、オーストラリア渡航後すぐのファーム……。大変なことや辛いことはなかったんですか?

綾子さん: ありましたよ!(笑)
私、ちょっと抜けてるところがあるというか、ほわーとしているとこがあるのか、日本にいたときから、よくからかわれるキャラクターというか……そういうところがあるんです。海外にでたら心機一転、キャラチェンじゃないけど、からかわれキャラじゃない方向に…と思っていました。ただ、残念ながらなかなかキャラクター(性格)まで変えられるものでもありません。結果、よくからかわれていました(笑)。無関心な状態よりは全然いいので、最初の内は特に大きな問題はなかったのですが、あまりにもからかわれすぎて、一度「うるさーーーーい!!!」と怒ったことがありました(笑)。
最終的にはいろいろあって丸く収まりましたが、そんなこともありましたね。

ただ、本当は88日間、働いた証明があればいいので、実際働くのは約4ヵ月間でよかったのですが、キリがいいところまで働きたいと思い、結局6ヵ月間働いていました。

3 普通の語学学校とは違ったカランメソッド!からのCertificate


カウンセラー:さて、波乱万丈なファームを乗り越え、セカンドワーキングホリデービザを取得した後、シドニーに戻って、ようやくアシスタントナース有給インターンシップ・プログラムがスタートしたとうことですね。

綾子さん:そうですね。まずはあらためて語学研修からスタートしました。
アシスタントナース有給インターンシップで通う語学学校ではカランメソッドという特殊な英語勉強方法を利用しているのですが、正直、英語を習得するうえで、最も効率的な勉強方法なのではないかと思います。
カナダでは語学学校に通ったこともありますし、日本では英会話スクールに通ったこともあります。ただ、そのいずれの方法よりも私は良かったと思います。

カウンセラー:具体的にどのような点が綾子さんにとってよかったのですか?

綾子さん:先生が言ってくれた表現をひたすら繰り返すのですが、自分が繰り返すんだ!という意識を持って聞くので、先生から発せられた音が耳にきちんと残るんです。そしてそれを自分で繰り返し発してみる……しかもそれで終わりではなく、通常留学生同士だとなかなか気が付くことのできない発音や表現、細かな文法の間違いなどを指摘してもらえるので、非常に勉強になりました。正直、日常の生活の中や、他の語学学校、英会話スクールでは、そんなこと誰もやってくれません。

カウンセラー:確かにそうですね。
通常の語学学校だとレベル分けされたクラスの中で日々の勉強をこなしますが、先生以外、ネイティブがいない環境だと、なかなか「何が本当に正しいのか」がわからないことが多々ありますよね。
引き続き、Certificateに進んだわけですが、Certificateはいかがでしたか?

綾子さん:いやぁ……、大変でした(笑)。英語ができても医療専門用語が飛び交うCertificateでは、先生の質問していること(ポイント)が何なのかもわからず、授業中に聞き取りきれない表現や単語もあり、大変でした。
ただ、シドニーって本当に多文化多国籍な国なので、Certificateを通じて異文化の中で働くことの大変さや難しさ、気を付けなければならないことなどを学べた点は非常によかったと感じています。

4 手取りは700ドルから1,000ドル!仕事で印象に残っていること。

カウンセラー:大変だったCertificateを修了し、仕事開始時期に入りましたね。実際、どのような場所でどのくらいの給与で働いていますか?
綾子さん:基本的にはナーシングホームが中心で、週5回くらいです。だいたい、モーニングだと25ドル程度、アフタヌーンだと27ドル、土日・祝日だと35ドルから55ドルにも上ります。私の場合は、モーニングシフトとアフタヌーンシフトが中心で働いています。時にモーニングシフトとアフタヌーンシフトを同日に消化するダブルシフトなるものもやったりします。ダブルシフトともなると体力的に結構大変ですが、そのかいあって、手取り平均週700から1,000ドルもらえています。(手取りで月々27万円以上の計算ですね)
おかげで今は、サリーヒルズ*のシェアハウスで1人部屋で暮らしています。家賃は230ドル/週とやや高めですが、光熱費やWiFi代も含まれているし、セントラル駅から徒歩5分という好立地のため、とっても満足しています。

サリーヒルズ*
シドニーの中でもカフェ激戦区と言われ、ヘルシーでおしゃれな飲食店、美味しいコーヒーショップ、 個性的なデザイナーズ・ブランドの服や雑貨のお店が並び、「世界一の朝食」で日本でも人気&有名になったBillsもある街です。美しく落ち着いた街並みで図書館などもあり、人気の高い地域です。

カウンセラー:仕事はいかがでしょう。アシスタントナースの仕事だからやや物足りなさはあるかもしれませんが印象に残っていることを教えてください。
綾子さん:お風呂上りにやたらベビーパウダーをつけるなーとか、褥瘡はあまり見ないなーとかですね。
ベビーパウダーは、やはり体が大きい方が多く体の肉のたるみの下に、パウダーを付けたい方が多いようです。褥瘡はなぜ少ないなのか、理由は明確でないのですが、食文化も異なるため栄養状態などが一つの理由としてあげられるのかなと思いまいした。

大変だったことはたくさんあります。
「このジャパニーズが!!!」となんともよくわからない切れられ方をしたときには、どうしようかと思いました。ただ、その方は、私がきちんと一通り仕事を終えて、「戻るよー」と声をかけると、一瞬前まで「このやろーーーー!」と言っていたのに、なんと日本語で「ありがと」と言ってくれました(笑)。

うれしかったこともあります。
認知症の奥様と比較的意識がしっかりとしている旦那様、お二人で入居している方々のある朝の出来事なのですが、旦那様が奥さんのポケットから口紅を取り出し「はい、ハニー」と言って口紅を塗り始めました。とても微笑ましくて、もう、それを見た瞬間、アシスタントナース有給インターンシップに参加してよかったなぁとしみじみ思いました。

5 今後はどうしようかな?

カウンセラー:今後のご予定は?
綾子さん:残り5か月程度なので、引き続きアシスタントナースとして働くか、何か新しいことにチャレンジするか、いろいろと模索中です。ただ、英語はまだまだ頑張りたくて、何か明確な目標が持てるといいなと思っています。

カウンセラー:アシスタントナース有給インターンシップ修了後、看護師資格取得に挑戦される方や、学位取得にチャレンジされる方もいらっしゃいます。
資格を取得して、絶対現地就職!という方もいらっしゃいますが、英語力を伸ばす上で、一つの目標として資格取得を念頭に置く方もいらっしゃいますよ!

綾子さん:なるほど!そういうのもありなんですね。
Yoshiさん(現地スタッフ)に相談してみよ!

6 これから看護留学される皆さんへのメッセージ

カウンセラー:今まさに迷っている皆さんに向けてメッセージをお願いします。
綾子さん:留学に限らずですが、迷ったらやってみたらいいと思います。
何かに迷ったとき、どのような選択だったとしても自分が出した答えが最善の答えだと本当に思います。
留学しなかったら、日本にいたら、もしかしたら〇〇なことができていたかも…とか□□になっていたかもとか「たられば」の話はあると思いますが、私は、今全く思いません。
実際留学してみて、英語力が伸びてきて気がつくこと、知れること、広がる世界があります。
周りの目やつまらない枠に捕らわれた評価を気にしすぎず、自分が本当にどうしたいのかを考えて答えを見つけていただきたいと思います。
大切なことは周りがどう思うのかや、みんながどうしているのかではなく、自分自身がどうしたいのかなので。
前向きに何事にもチャレンジしていく方が楽しいですよ!