お名前 | 伊藤 晶さん | 留学期間 | 2016年7月-2017年7月 | ||
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滞在都市 | シドニー/オーストラリア | インターン先 | ナーシングホーム |
もともとはイギリスかアイルランドへの留学を考えていたのですが、担当だったカウンセラーさんに、めっちゃ背中を押してもらって、看護留学を決断しちゃいました。「しちゃいました」と言いますが、あの時、背中を教えてもらえてよかったと感じています。(本当です!(笑))と、お話しいただいた晶さん。新しい出会いと経験に溢れた盛沢山の時間だった晶さんの体験談インタビューをご紹介します。
1 旅行が大好き!もっと喋れるようになったら…
最終的に飛び立ったのは臨床6年半くらいのタイミングだったのですが、海外には臨床3年目くらいのころから行きたいなぁ…と思っていました。きっかけは海外旅行です。
臨床経験を積みつつ、仕事も安定してきた2年目、3年目、1年に一度のペースで大好きなハワイと、その他の国に1度、計2回くらい海外旅行に行くようになっていました。海外旅行はいけばいくほど、「英語ができたらもっと楽しいんだろうな」と思うようになりました。
いつか海外で暮らしてみたい。
そう思ったのが3年目、そこからもともと憧れていたイギリスのワーキングホリデービザ申請に応募するようになりました。イギリスがいいと思っていた理由は、ヨーロッパの街並みや建造物が、なんとなく非日常を感じさせてくれるから…という理由です。ただ、年に1度しかチャンスがなかったイギリスのワーキングホリデービザ。定員は1,000人で、なんと抽選式。つまり、物凄い倍率を潜り抜ける「強運」を持たなければなりません。結果、残念ながら2年連続で抽選漏れ……。気が付けば、臨床も5年目になっていました。
実はこの間に1度、留学に関して調べようと思い、一括資料請求したことがありました。2014年、留学を決断する1年前のことです。その時、現在も担当いただいているカウンセラーの方から、看護留学のお話も伺いました。ただ、イギリスへの思いが強かった当時の私は、イギリスが諦めきれず、看護のプログラム参加には踏み切りませんでした。しかし、残念ながらイギリスワーホリの抽選にもれ、このままズルズルするのもな……と思っていた矢先、カウンセラーの方から、「英語を喋れるようになることに重点を置いてみませんか?」と提案をいただきました。
確かに、イギリスやアイルランドなど、日本人の少ない環境ならまだしも、日本人がやや多めのオーストラリアやカナダなどの場合、普通のワーキングホリデーで行ってしまうと英語を喋れるようにはなれないだろうな……と思っていたこともありました。だったら、ネイティブ環境で働くことで英語力も伸ばせて、しかも、今までの看護師の経験を活かして稼げるアシスタントナース有給インターンシップがいいなと考えました。ただ、オーストラリアに留学して、その後にイギリスに行くなどは考えておらず、渡航先は1つの国のみ!と思っていたので、最終やはり悩みました。その背中をグッと押してくださったのが、カウンセラーさんです。ゴリゴリっと背中を押してもらって、思い切って決めちゃいました(笑)。
周囲の反対はあまりありませんでした。
両親は、私の性格をよくわかってくれているので、止めても無駄だろうな……と思ってくれていましたし、病院も、ワールドアベニューのアシスタントナース有給インターンシップ・プログラムに参加した方が以前にもいらっしゃったようで、参加必要書類の作成なども問題ありませんでした。
お申込みは出発の約1年前の2015年8月。2016年3月に退職し、約3ヵ月間、派遣の仕事をしながら準備をし、2016年7月出発しました。
2 ‘C’、‘S’、‘th’ 違いがわからない!
出発してまず待ち構えていたのは英語の勉強です。
語学学校は全12段階ある中の下から3番目のクラスに入りました。ネイティブの先生が話す英語をひたすらトレーニングのごとく繰り返していくのがカランメソッドの方法ですが、初めての授業では、ネイティブのスピードで話す先生の英語に耳がついていかず、「何を言っているのか、まったくわからない…」という状態でした。
印象に残っているのは、発音矯正です。‘C’、‘S’、‘th’の違いや、‘L’と‘R’の違いなど、最初のころは同じ発音を2回、3回と繰り返し直されました。冠詞(‘a’や‘the’など)や、前置詞(‘at’、‘on’、‘in’など)も、基本的だけど細かいニュアンスがわからず、毎回指摘されていました。冠詞などは未だにむずかしいですが…(笑)
また、カランメソッド(グループレッスン)と併せて、プライベートレッスンも取っていました。ネイティブの方と「45分間マンツーマンで喋らないといけない」という環境はなかなかなく、最初はかなりエネルギーを使いました。ただ、はやりマンツーマンだとグループレッスン時よりもさらに細かく指摘してもらうことができるので、とてもためになりました。私は、先述した冠詞や前置詞もそうなのですが、特に時制の問題(現在過去未来、現在完了、過去完了など)がときおりぐちゃぐちゃになってしまって……。普通にコミュニケーションをとる中で、間違っていることは都度指摘してもらい、修正してもらいました。先生は当然ネイティブスピーカーなので、「本当に正しい英語」を知ることができるのは貴重な機会でした。
プライベートレッスンで必要箇所は復習しながら補強、グループレッスンでチャレンジし、撃沈、またプライベートレッスンで修正してもらうといういいサイクルで英語力を伸ばすことができたと感じていますし、勉強は大変でしたが、お蔭で、普通のワーキングホリデーできている方の日本語英語(カタカナ英語)を聞くと、「しっかりと発音矯正してもらってよかったな」と改めて感じます。
11週間みっちりと英語を勉強したことで、留学当初にあった英語を話すことへの強いストレスを感じることなく英語を喋れるようになったと思います。
語学研修期間中、大変だったことがもう一つあります。
それは、「お金」です。渡航時に持参するお金として80~100万円くらいは持って行きましょうと、お話を伺っていたものの、日本での看護師時代、海外旅行で散財していた私は、留学にかける費用がぎりぎりでした。EU離脱の時期と重なり、なんとか換算レートがいいときに換金できたものの、生活資金は厳し目……。日本食レストランでアルバイトを始めました。ただ、日本食レストランでアルバイトをしてしまうとスタッフ間のやり取りが日本語で、せっかくカランメソッドやプライベートレッスンで育てているリスニング力が後退してしまうような感覚がありました。それに、日々、結構しっかりと勉強しているので、そこにさらにアルバイトが重なると体力的に厳しく、疲れ気味になってしまいました。出発前、担当カウンセラーの方に、「ハワイで散財しちゃだめ!ちゃんとお金貯めましょう!」と、一緒に貯蓄計画を立てていただいたのですが、あのとき、どうしてここまで貯金に対して、一緒に一生懸命考えてくださったのかが、このタイミングでわかりました(笑)。
皆さん、お金は大事です!(笑)
引き続き、Certificateです。
Certificateでは、オーストラリアでアシスタントナースとして働くために必要な知識や技術を学ぶためのコースで、この資格がないとオーストラリアでアシスタントナースとして働くことができません。日本で看護師として臨床経験がある方であれば、学ぶ内容自体がわからず、困ることはないと思います。先生方も優しいし、わからないことは聞けばきちんと教えてくれます。実習も難しいことはありません。ただ、それがすべて英語になるという点が大変な理由です。
Certificateでは、多国籍な国、オーストラリアならではの「尊重しあうことの大切さ」を学びました。
オーストラリアは移民の方が多く、生粋のオーストラリア人ということがあまりありません。国際結婚もハーフもクオーターも当たり前で、宗教もさまざまです。例えば、信仰している宗教が異なれば、食べれるものや食事に対する習慣も異なります。日本で働いていたときにも外国人の患者さんが入院してこられたことがありました。ただ、食事を考えるときに栄養面やアレルギーなど観点は盛り込まれるものの「宗教」のことを質問したことがありませんでした。オーストラリアでは、食事もバラバラで、個々のニーズに沿ったものが提供されていたことには驚きましたし、勉強になりました。
3 朝4時からパーティー!?意外と楽しんでるシェア生活
Certificateが終わり、いよいよ仕事!なのですが、季節は夏の12月。大学生の方たちが一気にアルバイトし始めるこの時期は仕事もやや閑散期。すでに長く働いている方であれば仕事がなくなるということはないようですが、12月から始める、となると、入れるシフトがあまりありません。ということで、この時期は思い切って遊びました(笑)。真夏のクリスマスとお正月なんて、オーストラリアに滞在中くらいにしか楽しめません。
同じワールドアベニューのプログラムに参加していた方たちやシェアメイトの友達と、ピクニックしたり、年末年始の花火を見たり、ホームパーティーを開催したりと、楽しみました。
年末年始の花火は本当にすごかったです。
日本でも、夏の風物詩としてメジャーな花火ですが、シドニーのニューイヤー花火は一味違いました。あんなに色んな方向から飛び交う花火はみたことがありません!!見れた場所が、ハーバーブリッジからやや遠かったのが残念でしたが、とても感動しました。
シェア生活について
実は、留学する前、シェアハウスやシェアルームで、他人と一緒に生活するなんて、絶対に無理!!と思っていました。他人と一緒にプライベートな時間を過ごすなんて、性格的にも絶対気疲れしてしまうだろうし、息を抜ける時間がないなんて、ストレスで死んじゃうと思っていました。
ただ、これがやってみると意外にも楽しかったんです。
実際、シェアでは多くて8人、イタリア、ベルギー、メキシコ、ドイツ、ブラジル、チリなどヨーロッパ系やラテン系を中心の中で暮らしていました。そこはまさに「海外!!」という感じで、いろんな意味ですごかったです(笑)。
一緒に暮らしてみて、改めて、国によって、本当に文化や習慣って異なるんだな…と感じました。
例えば、ヨーロッパ人の子たちに飲みに誘われるんです。「今夜これから飲みに行かない?」という感じです。ただ、一緒に飲みに行ったにも関わらず、飲み屋に行くと、彼らは自由行動。あっという間にはぐれてしまいました(笑)。帰ってきて申し訳ないなどの一言もない…というか、悪いなんて1ミリも思っていないんです(笑)。
他にも、クラブに行って帰ってきて、朝の4時からパーティーを始めたことがありました。さすがに「うるさい!」と文句いいましたけどね(笑)。他にも、自己主張の激しさなどには最初驚きました。YESもNOもものすごくはっきり言うし、私たちにも「ちゃんと自分の意見を言え!」ってうるさいんです(笑)。かと言って、ちょっとした旅行に対する意見の相違(たかが旅行の楽しみ方が違うだけです)で、ケンカしてみたりします。本当に面白かったです。
文化や習慣、考え方が違い、共に生活するのは大変でした。ただ、良かったのは、はやり英語の面です。
特に仲のよかったイタリア人の子が、私に「もっと英語で話かけてこい!」「もっと喋らないとだめだ」って、おせっかいか!!と突っ込みたくなるくらい、ぐいぐい押してくれるんです。おかげ様で、いろんな国の英語に慣れた感じはします。
こんな話をすると、シェアはやはり大変なのでは?と思う方もいらっしゃると思います。私はこのシェアの後、1人部屋でも生活してみたくて、途中から、1人部屋のシェアハウス(キッチン、お風呂などは共同で部屋は1人部屋というタイプ)に移動しました。ただ、驚くべきかな、誰かと一緒に暮らすことの楽しさを覚えた後の私は、逆にさみしくなってしまい、結局、シェアに戻りました(笑)。
シェアメイトはまるで家族のようで、思っているほど気も使わず、ストレスもありませんでした。何事もやってみるべきなんだな。。と改めて感じました。
4 「悔しさ」が英語を伸ばしてくれる
1月末からアシスタントナースとして仕事がスタートしました。
派遣会社に登録し、ナーシングホームを中心にオンコールでシフトをもらい、仕事に出ます。基本的な仕事は「助手」なので、日常生活支援・援助(シャワー介助、着替え介助、食事介助、アクティビティでの補助など)が中心です。
色んな施設に派遣されるので、最初の内は、勝手がわからず大変でした。
ただ、本当に大変だったのは、勝手がわからない云々よりも、やはり「英語力」の壁です。
ある時、ある利用者の方が、帯状疱疹にかかっているのを見つけました。状態が悪く、病院に行くべきだと判断したのですが、自分が持っている意見や思いを英語で伝えたり説明したりすることができませんでした。
結局その利用者さんは、医師が来た時に、帯状疱疹が悪化している状態を見つけてくれて、病院へ行くよう、指示を出してくれたことにより、その後、きちんと病院で治療を受けることができました。ただ、それは医師の方がたまたまきちんと見つけてくれたからです。私にもっと英語力があり、発見した時点で、正看護師にきちんと説明できていれば、もっと早い時点で利用者さんの声を代弁できたかもしれないと思うと、ものすごく悔しくて仕方がありませんでした。
仕事にも慣れてきた4ヵ月目の今は、いろんなことに慣れると共に、数を重ねて働いている施設の数も増えてきて、利用者の方やスタッフさんも私のことを覚えていてくれます。オーストラリアの方は感情表現が非常に豊かなので、ほっぺにキスをしてくれて「あなたが来てくれて助かったわ」とか「本当にいつもありがとう」と言ってくれます。しんどいことも悔しいこともたくさんありますが、その一言で、また頑張ろうと思えます。
仕事のペースとしては週4~5回程度で、高いときだと手取り週1,000ドル、普通の時は週600ドルくらいで働いています。家賃はやや高めで週210ドルですが、普通に暮らしていけます。
5 今後のこと、皆さんへのメッセージ
帰国後のことはまだ明確に決めているわけではないのですが、帰国したらしばらくの間、応援ナース(派遣)で働き貯金をしつつ、正社員として働く病院を探そうかと考えています。せっかく英語力も伸びたし、Aged Care(エイジドケア 高齢者介助)に携わったので、これらの経験を活かすことも、考えています。
留学前の私は、ホームステイのことや英語でのコミュニケーションがとれるかどうか、オーストラリアでの生活そのもの、本当にいろんなことが不安でした。とくに、私は人見知りするところがあり、誰かと仲良くなるのにすごく時間がかかるタイプだったので、その点もすごく不安でした。
ただ、そんな不安を抱えて空港につくと、ワールドアベニューの現地スタッフが空港出迎えに来てくれていました。同じタイミングで到着したアシスタントナース有給インターンシップ参加者の方たちもとても社交性の高い方が多く、気が付けばあっという間に友達になっていました。ワールドアベニューのスタッフの方に現地生活のこと、英語のこと、いろんなことを都度相談し、手取り足取り、本当にいろいろ教えてもらいました。
今思うと、出発前にあんなに不安になることなんてなかったんだな、と思っています。
とは言え、不安はあると思いますが、考えすぎないことをお勧めします!(笑)
オーストラリアでは、日本ではできない経験に溢れています。
日本だったらこんなに気軽に海になんていけないし、こんなにさまざまな国籍の人との出会いもありませんでした。本当に盛沢山の1年になります。すべては自分次第ですが、行動しただけ、世界が広がる感覚をぜひ皆さんにもっていただきたいなと感じます。不安にまけず、勇気をだして一歩ふみだしてみてください!