OET対策のコツ【オーストラリア 正看護師資格に向けて】

オーストラリアで正看護師資格を取得するために必要な英語力の証明の一つ、OETで見事既定のBを取得したお客様からOET対策のコツを伺いましたので、ご紹介いたします。
今まさに悪戦苦闘中!という方、IELTSとOET、どちらで対策していくべきか迷っているという方、これから師資格取得にチャレンジしようかどうか迷っている方、ぜひ参考にしていただきたければ幸いです。

オーストラリアで正看護師資格を
取得するために必要なものは?

オーストラリアで正看護師資格を取得するためには、英語力と学士取得の2つの証明が必要です。
日本で正看護師の資格は持っているものの、専門学校または短期大学卒で、学士は持っていないという方の場合、オーストラリアで大学をあらためて卒業し、併せてオーストラリアの看護協会が定める英語力の規定をクリアする必要があります。

しかし、日本ですでに大学を卒業している方の場合、オーストラリアで改めて大学を卒業することは必須条件ではありません。日本で、4年制大学を卒業し、資格を取得した方の場合、必要なのは「英語力の証明」です。
厳密にいうと、英語力の証明と日本で取得している学士で取得している単位内容を看護協会に申請し、その後、大学や病院での講義・実習を行う必要があります。(ただし、今後日本の免許を利用したオーストラリアでの正看護師登録の仕組みが変更される予定です。最新情報を常に入手するよう心がけてください)

この「英語力の証明」時、認められている英語試験には、「IELTS(アイエルツ)」と「OET(オーイーティー)」、他にも「PTE(Pearson Test of English Academic)」などがあります。

IELTSは、TOEICやTOEFLと同様、世界で広く使用されている英語力判定試験の一つです。
OETは、医療に携わる人のために作成された語学力判定試験で、オーストラリア、ニュージーランドで、正看護師資格取得に伴う英語力の証明として用いられている試験です。実は、2017年11月1日よりイギリスでも認められるようになりました。現在は、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、ウクライナ、ドバイ、シンガポール、ナミビアで利用することができます。

IELTS、OET共に、「ライティング」「リーディング」「スピーキング」「リスニング」の4セクションに分かれており、それぞれのセクションで、オーストラリアの看護協会が定める規定をクリアする必要があります。

IELTSの場合、7.0/満点9.0
OETの場合、B/最高マークA

 


英語試験(IELTS/OET)認定コース


今回は、アシスタントナース有給インターンシップ・プログラムと語学留学を経て、2017年2月、見事、OETで英語力の規定を満たした方に、Tips(コツ兼アドバイス)を伺いました。

1. リーディング
パートBを制する者はリーディングを制する

The Occupational English Test(※以下「OET」)は医療に携わる人のために作成された語学力判定試験です。 このテストでは医療現場で必要とされる英語力が判定されます。 OETの試験はOETセンターの管轄にて、毎年に7~10回、世界40ヵ所で行われています。 このテストは海外の医療資格に登録を行いたい人の語学知識を測るほか、英語圏で通用する英語力を測ります。 オーストラリア・ニュージーランドでは、海外の正看護師が現地の看護師として登録するために必要な英語力を、OETの全てのカテゴリー(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)にて「B」以上と定めています。

OETのリーディングの試験には、パートAとパートBとがあります。
パートAとパートBとでは、それぞれ異なるスキルが各パートで試される仕組みになっています。
ちなみに、リーディングとリスニングは職種に関係なく、看護師の方も薬剤師の方も、その他の職種も皆さん同じ内容の試験を受けていただきます。したがって、リスニングの問題には、獣医と飼い主との会話をリスニングする…というものや、放射線科的な検査についてなど看護に直結しない話題が挙がるものもあります。リーディングの問題でも、歯科や薬剤師関係の問題のように、やはり看護に直結しない内容が出題されることもあるため、特定の分野に偏りすぎず勉強することが求められます。

パートA (サマリーギャップフィリング)

時間 15分間
評価割合 33.33%
内容 複数のテキストから素早く適切な情報を入手するための読解力を評価するための試験です。
1つの話題に関連する3~4つのテキスト(合計約650語)を読み、不足している単語(合計25-35箇所)を記入して要約段落を完成させる必要があります。


パートB (選択問題)

時間 45分間
評価割合 66.66%
内容 学術雑誌や専門誌と同様の医療に関連する包括的な内容のテキストの読解力を評価するための試験です。 それぞれ600〜800語ある文章を読み、選択問題(合計16〜20)に答える必要があります。

OETのリーディングは、パートAに悪戦苦闘する方が多いと聞きます。しかし、上記をご覧いただくとパートBの占める評価割合が大きいことがおわかりいただけると思います。つまり、パートBできちんと対策することで、リーディングのスコアを伸ばすことができるのは火を見るよりも明らかです。

私も、パートBをとことん対策したことで、OETのリーディングのスコアは基本的に「B」のスコアを取ることができていました。

では具体的にどのように対策するのか?というと、OET対策を始める前、基礎英語力を伸ばす勉強をしている段階に、「IELTSのリーディング対策をする(※)」ことがおすすめです。

当然、試験に出る内容自体は、IELTSとOETとでは異なります。OETは医療従者向けの英語能力判断試験のため、文章の内容は、医療に関連する内容に絞られます。対して、IELTSは、「印刷機が生まれ現代にいたるまでの歴史」や「日本のGDPの推移について」、「自然災害後のPTSDについて」など、かなり広義な内容になっています。
ではなぜ、IELTSで対策することがおすすめなのか?それは、IELTSのリーディングは、OETのリーディング パートBと同様、選択問題もあるという理由と、IELTS対策方法は、OET対策よりもたくさん世に出回っているとう理由からです。

OETは、利用できるのがオセアニアとイギリスのみ(私が対策していた時はオーストラリア、ニュージーランドのみ)、且つ比較的新しい英語能力判断試験ということもあり、対策本などを含む対策方法があまり多く世に出ていません。受験者数も合格者人数も、対策本の数も、対策コースも圧倒的にIELTSの方が多いというのが現状です。よって、対策するための材料(リーディング材料)が非常に少ないのです。

そこで、頼りになるのがIELTSです。幸いパートBは、IELTSのリーディング同様、選択問題形式のため、特に医療に関連するリーディングの試験内容を中心に対策することで、OETの対策にもつながっていきます。ただ漫然と新聞や記事を読むのもリーディングの練習になると思います。ただ、内容を理解することを目的としたリーディングと、問題を解くためのリーディングでは、読み方が違います。したがって、問題と回答のあるIELTSのような問題を解いていくのが良いと思います。

また、パートBを解くための基本的な読解力が身に付かない限り、パートAも解くことはできません。
よって、パートBを制することで、おのずとパートAを解くための力も身に付けることができるため、配点も高く、IELTSを利用して対策でき、基本的な読解力を培うことのできるパートBを集中的に対策していくことがおすすめです。

※IELTS対策について参照記事:オーストラリアで正看護師免許を取るためのIELTS対策方法

2. ライティング
「あと少し…」が伸び切らないライティング

ライティングは最も苦労しました。
語学学校でOET対策を行っていたとき、毎回「あなたなら大丈夫!」「次回はいけるわよ!」と先生方から言っていただくにも関わらず、「あと少し!!!」というとことで、なかなか伸び切らず、最後の最後まで対策に奔走しました。

OETのライティング

全45分間の試験で、患者が転院や退院する際の紹介状や必要通知を作成します。試験開始、最初の5分間で与えられた患者の情報(Notes)を読解し、残り40分間で、180から200ワードを用いて、求められている文章を作成します。

求められている内容に、きちんと適した内容の文章が作成できているかどうか(「誰に」「何を」伝えるべきかがあっているかどうか)、文章作成に用いている文章のうち利用している単語や文法は妥当かどうか、スペルや句読点、レイアウトは適切かどうかなどが評価のポイントとなります。また、ワード数を大幅にオーバーしたり、ワード数が少なすぎたりも、無駄が多いのではないか?必要事項が記載されていないのではないか?など、懸念される理由となるため、指定されたワード数も意識する必要があります。もちろん、日本語でも、知人に手紙を書くのと医療現場で紹介状を書く時では、言葉の使い方や言い回しが異なるように、レターに適した言い回しなどを勉強するのも大切です。

文字数やレイアウトも評価の内なので、ライティング対策のコツは、「とにかくレターを書く練習をする」ということに尽きます。ただ、自分だけではレビューが難しいため、「文法がしっかりしているネイティブの教師」から、都度フィードバックをもらい、正しい文章作成力を身に付けていく必要があると思います。

「ネイティブの英語教師」と一言に言ってもレベルがさまざまです。OET対策では友達に送る手紙の文章作成をレビューしてもらうわけではないので、経験豊富で文法もきちんと適切に教えることのできる経験豊富な教師との出会いが、勝敗を左右します。学校選びやOETのライティングに精通した先生選びができるのであれば、慎重に行うことをお勧めします。

ちなみに、私が、OET対策の講師の先生方から「大丈夫」と言っていただけていたにも関わらず、なかなか目標スコアをマークできなかったのは、「公式の教材にある練習問題と本番の問題とのレベルの差」にも、大きな理由があったと思います。例えば、公式の教材にある問題と比較し、本番の問題は患者の情報(設定)がかなり複雑で、伝えるべき情報の取捨選択がものすごく難しかったり……。

リーディング対策の箇所でも先述している通り、OETは対策するための材料や教材が多くありません。それはライティングの教材も同様で、練習問題が少ない上に、教材内容が本番の試験内容と比較し簡単だったことが大きな原因の一つのように感じています。単語力や表現力が劣っているとNoteを正しく理解できません。すると当然、誤った内容の紹介状を作成してしまいます。もともとある教材だけではなく、日ごろの生活の中から (例:ABC health newsletterやMedical Journal of Australiaなど)医療に関するテキストに触れ、単語量や表現力を磨くことをお勧めします。

3. スピーキング
ロールプレイで徹底的に対策すべし

スピーキングは、IELTSよりも簡単だったように感じます。
IETLSの場合、スピーキングの試験はパート1~3に分かれています。パート1は4-5分程度のインタビュー形式、パート2は1~2分程度の異なるテーマでのスピーチ、パート3はディクテーション方式でパート2の話題を発展させる…という感じです。
対して、OETのスピーキングの試験は、全20分の間に2~3分間のウォームアップと5分間(または5分間以上)の本番のロールプレイ2回が実施されます。ロールプレイングでは、インターロケター(Interlocutor)と呼ばれる試験のための対話者が、患者や利用者、または患者の親戚や介護者を演じ、受験者は専門的役割(例えば、歯医者、獣医など)を演じます。医師の受験者は医師役、看護師の受験者は看護師役に徹します。(学校でOET対策を行っていた際、そのあたりが最初はわかっていない…という受講者も多くいます)
出されている課題に対して適切な回答ができているかどうか、流暢さ、会話内容の明瞭さ、受け答えの適切さ、文法力や単語力などが評価ポイントとなります。

OETのスピーキングの題材には下記のようなものがありました。

・これから退院する糖尿病の患者に、インスリン投与の方法を指導する。
・外来でひどい日焼けを負った患者に対して、今後の日焼け予防について指導する。
・顔面神経の近くにある腫瘍を取り除く手術を行うが、麻痺が残る可能性があることを説明する。
・がんの告知を行う。
・〇〇の試合に出たいと言っている手術が必須の病状の患者に、手術の必要性を説明する。

当然、自分の今までの専門と異なる分野の内容が出題問題として挙がってくることもあります。
ただ、OETは専門職としての知識を問われている試験ではなく、あくまで英語力の能力を問われる試験です。よって、大切なことは、専門知識を答えること(だけ)ではなく、インターロケターと適切なコミュニケーションを取ることです。

例えば、「これから退院する糖尿病の患者に、インスリン投与の方法を説明する」場合、ただ、インスリン投与の説明をしたとしても、いくら専門的な知識を持ち理路整然説明したとしても十分なスコアは取れません。

上記の場合であれば、これから退院するので、病状も前向き、且つ患者との人間関係も継続的であることが予測できます。そうなると、最初は明るい挨拶から入り、退院となることを喜びながら、退院後の生活の話に触れ、そこから今後必要となる自分自身でのインスリン投与の方法を説明、そしてそこで生まれる不安や悩みに共感し答え、必要であれば勇気づけをして、最後に締めの挨拶を行う…… このような流れが自然なコミュニケーションではないでしょうか。

OETのスピーキングの試験では、このように、シチュエーションに応じて適切な対応や会話を行う必要があります。

OETのスピーキング対策は、「徹底的にロールプレイで練習する!」ということだと思います。ロールプレイを行う際、インターロケター役、受験者役、試験管役の3人で交互にロールプレイを行い、互いに気が付いた点を指摘しあうのがお勧めです。ただ、ここで注意していただきたいのが、先述しているような「OETという試験の傾向をきちんと理解している」英語の先生や同じくOET対策を行っている生徒と、ロールプレイを行わないと意味がないという点です。(患者役は、OETに精通している方でなくても患者として自然な対応ができる方なら問題ないと思います。)
OETはあまり歴史の古い試験ではないため、エキスパートの英語の先生も限られています。適切なアドバイスを下さるよい先生を見つけましょう。

ちなみに、インターロケターは、ネイティブの方もいれば、ノンネイティブの方もいます。日ごろの生活の中で、さまざまな英語の発音に慣れておくこともお勧めです。

4. リスニング
ニュースや雑誌もフル活用して対策

最後はリスングです。OETのリスニングは、約20〜28の質問項目を含むパートAとパートBとの2つで構成されています。リスニングの内容は一般的なヘルスケアに関連することです。各パートは録音された約15分間のスピーチで構成され、回答する時間が与えられます。

パートA

時間 20分から25分間
内容 専門家と患者との問診を聞き取り、必要項目を聞き取り、質問事項に回答します。

パートB

時間 20分から25分間
内容 職場で現実的に起こりうる健康関連の話題についての話を理解する能力を評価します。医療専門家の講演や講義(レクチャー)を聞き取り、穴埋め問題に解答していきます。

↓OET リスニングテスト サンプル

リスニングに関して、先にもお伝えしている通り、OETの教材はあまり多くありません。なので、まず、公式教材の内容は制覇しましょう。ただ、それだけでは足りないので、日常の中にある教材を利用することをおすすめします。
リスニングはPodcast(ヘルスレポート(ABC Radio NationalのNorman Swan がプレゼンターを勤めるプログラム))を聞いてみたり、テレビ番組でも医療関係のドキュメンタリーを見てみたり……、日常生活の中でも対策ができます。
対策を行う際のポイントは、よく話題に挙がる単語や表現(病名や症状、症状を訴える際に使う形容詞など)を、「発音」とセットでしっかりと覚えていくことと、ノートテイキングスキルを身に付けることの2つだと思います。
単語や表現を「発音」とセットで覚えるのは結構重要です。「読む」ことはできても「聞く」ことができないでは、リスニングの結果は出てきませんからね。ちなみに、リスニングでは、スペリングは問われません。特に病名や、薬の名前などはスペルが間違ってても音が通じれば正解となります。(ただし、ライティング、リーディングではスペリングは重要です)
また、ノートテイキングスキルを身に付けることもとても重要です。リスニングのパートAとパートB共に録音を「一度」聞き、聞いている間に、解答用紙にある設問に回答していく必要があります。病名や症状の単語は長い単語が多く、それを一つひとつ書いていたら聞いている間に必要な情報をすべて書き取ることができません。よって、医療現場でよく使われる略語をきちんと覚え、必要な情報を素早く書き取るノートテイキングスキルを身に付けるとよいと思うからです。
ちなみに、OETのリスニングでは、オーストラリアで一般的に使用されている略語を、解答として使用することができます。例えば、Shortness of breath(呼吸困難)は、SOBでOKですし、Diabetes mellitus(糖尿病)はDMでOKです。略語集はネットで調べることができるので、覚えておくと便利です。

ワールドアベニューでは医療従事者向けの学習コンテンツを配信するMEDISTUDIO(メディスタジオ)のYouTubeチャンネルで、医療英語聞き流しフレーズを配信しています。5分から10分程度の動画になっていますので、隙間時間に活用してみてください。

さいごに


全体を通じて言えることですが、OETの場合、IELTSと異なり、ヘルスケアに関連する題材がテストに出てきます。

印象に残っている内容だと
・認知症の問題で、全世界で認知症患者が増加傾向にあるなか、その現状と治療、予防について
・宇宙に出た人の健康問題で放射能の影響や時間の感覚がつかめなくなるなど宇宙飛行士などが抱える健康被害について
・小頭症の感染源について など。

これらは医療従事者で、且つ医療現場にいれば、上記のようなトピックスで会話すうこともあるかもしれません。しかし、日常生活のなかで友人と会話するトピックスかと言えばそうではないと思います。またIELTSと比べて圧倒的に対策するための教材が少ないため、学校に通い、試験対策を行っているときはもちろんのこと、日々の生活の中でも、ドラマや雑誌、新聞などを利用し、単語力を増やしたり情報収集したりすることを心がけることは大切だと思います。

高い英語力も、OETのスコアも一朝一夕に身に付くものではありませんが、オーストラリアでの資格取得に対する状況やOETの傾向は、変わっていくと言われています。例えば、2018年1月からOETの試験内容が変更になるのではないか……という話があります。最新の情報をきちんと入手しながら対策を行っていくことが重要です。チャレンジしたいと思っているのであれば、一日でも早く対策を始め、目標スコアを取得することをお勧めします。

ちなみに、私も最新情報を確認しようとOET公式ホームページを覗いてみたところ、よくある文法間違いや、スピーキングのアイデアについてなど、さまざまな情報が挙げられいました。私がOET対策を行っていたときと比べると、ホームページ内容が充実した印象でとても勉強になりそうでした。実はそれらの記事を作成していた方が、私も教わったことのあるお世話になった先生で驚くと共に、とても実用的な内容が故に、これらの情報を無料で入手できるなんて羨ましい!!と思ってしまいました(笑)。私も復習のために記事を読んでみようかと思います。

皆さんも頑張ってくださいね!

※当記事は、2019年6月現在の情報をもとに編集しています。

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