オーストラリアで看護師として働きながら生きるとは?仕事のことから子育てのことまで!

お名前中田 安妃子 さん
留学期間2007年〜滞在都市シドニー/オーストラリア

私は日本の心臓胸部外科/消化器外科にて4年間の臨床経験を積んだのち、オーストラリアへの旅行をきっかけにオーストラリアでの正看護師を目指し、2007年にシドニーに留学しました。

約3年間の苦労を経てオーストラリアの資格を取得。運よく心臓内科のある病棟に就職しRegistered Nurse(RN)=正看護師として数年、その後、臨床教育看護師(CNE :Acting Clinical Nurse Educator)としても働き、現在に至ります。

その間、不器用だけど一生懸命な旦那と出会い結婚、マイホームを購入、可愛い可愛い姫を授かり、現在2人目を妊娠中です。現在はパートタイムで働きながら、子育てに追われながらも、楽しい毎日を過ごしています。

1 Antenatal clinic (出産前 クリニック)

Antenatal Clinic、直訳すると出産前クリニックに行ってきました。
日本で出産をしたことがないため、日本の出産事情は分かりませんが、オーストラリアでは妊娠が分かったら、まずGP(General practitioner=開業医、ホームドクターなど)と呼ばれる病院で妊娠の確認をしてもらいます。その後、妊娠時に必要な血液検査を行い、もし超音波を希望する場合は6週にDating scan、12~14週の間にNuchal translucency test(ダウン症の検査)の紹介状をもらって超音波、さらにAntenatal Clinicへの紹介状をもらって病院にアポイントメントをとるという流れになります。

オーストラリア の病院には私立・公立病院とあり、1.私立病院で分娩する、2.公立病院で私立病院の患者として分娩する、3.公立病院で分娩するという3つの選択地があります。
これらの選択は基本的に民間の健康保険に加入しており、その保険によって妊娠がカバーされるかどうか?で、きまります。

1.私立病院で分娩する場合

自分の選んだドクターの下で妊娠管理と出産をすることになります。出産後は5~6日の入院し、費用は数千ドル(数十万円)の支払いとなります。

2.公立病院で私立病院の患者として分娩する

Public hospital=公立病院で私立病院の患者として出産をする場合、ドクターを選ぶ権利は発生するものの、それ以外(入院期間やその後ケアなど)は、公立病院の患者と同じ扱いになります。ただし、支払いは私立病院よりは少なめです。

3.公立病院で分娩する

公立病院で公立病院の患者として出産する場合、ドクターの選択はできませんが、出産後早ければ24時間で退院でき、助産師が家に訪問して赤ちゃんとお母さんの状態をチェックしてくれます。
支払いは国民健康保険でカバーされ、費用は発生しません。

どれがよいのか?は人それぞれの価値観によって異なります。
私の場合は、VBAC(Vaginal birth after cesarean)を強く希望していて、これは公立病院の方が叶う確率は高いことと、私の働いている病院の助産師さんは評判が良いこと、比較的新しい建物なので98%は個室にしてもらえること、また、今回出産直前ギリギリまで働くつもりだったため、何かあった時にすぐに病院に行ける(VBACは早いうちからモニターされる必要がある)こと、最後に上の子がいるため早く退院して助産師訪問をしてもらった方がいい、といういくつかの理由により自分が働いている公立病院での出産を決定しました。

日本の産婦人科とオーストラリアの産婦人科の大きな違いは、「助産師さんが妊婦さんを診る」ということです(既往に何もない限り)。私は甲状腺摘出歴があるため、前回の出産時と同様のドクターの下で管理されますが、VBAC希望ということで、自分の助産師さんにも28週から管理してもらう予定です。私的には「絶対に助産師さん管理の方が自分の望んだ出産ができる」と考えていました。なので、今回こそWater birthができるようによく相談しようと思っています。(理由は、いつくかありますが、体質的にモルヒネに弱く、笑気麻酔には恐ろしいほどラリってしまうので、できるだけ痛み止めを使いたくないというのが一番ですね。。)

ちなみに、最近の病棟の話題といえば、妊婦。私が勤める病棟には現在4名の妊婦がいます。
予定日は9月、10月、12月、1月と続きます。9月出産予定の子はそろそろ産休に入ります。私は10月出産予定の子のBaby showerの準備に追われています。さらに、私の子供の予定日は12月のため、もうすぐ19週目。しかし、おもしろいほどに、なかなかみんな気がつきません。2人目ですし、私から「妊娠してます!!」と公表するわけでもないため、知っている人はまだ多くはありません。私としてはずいぶんお腹が大きくなってきたと思うものの、オーストラリアではもともと身体が大きい方も多いため、うかつに「妊娠してるの?」と聞けない…… というより聞いてはいけないという事情もあります(苦笑)。さらに、どうやら昨日の病棟会で、NUMが妊娠を公表したらしい!妊娠ラッシュですね。

2 お手本がほしい Educator…

新しいスタッフが今週から始まる予定だったのですが、どうやら免許登録に時間を要し、今週から始めることができなかったようです。しかし、名前はすでに勤務表に入っていたため、スタッフが足りないという状況に陥りました。リーダーが夜勤師長さんに連絡をし、スタッフを補充してもらうように頼んだものの、正看護師ではなくアシスタントナースだといいます。と、いうわけで結局私がCCUに入るはめになりました。
たまりあるこのような事象、「Educator」という仕事についている人間は、ときにいいように使われるな…… とやや憤りを感じている今日この頃です。

今更ではありますが、「Educator」という仕事に疑問を抱くことがあります。
日本ではなかったポジションだからなのか、根本的にスタッフ教育という概念が日本と全く異なるせいなのか、結構な頻度で自分と葛藤することがあります。おそらく、自分にとって「この人だ!!」と思える「Educator」と出会ったことがないことも大きな理由かもしれません。

オーストラリアのスタッフ教育に対する基本概念が嫌いなわけではありません。成人教育を基本概念としスタッフ個人のプライベートも思慮に入れたアプローチを行うことは、とてもいいことだと思います。

日本にいたときには、毎日勉強は当たり前、早く出勤して情報取集をするのは常識、「分かりません」はタブーでした。数週間前にオーストラリアに来たばかりの日本の看護師さん達と話をする機会がありました。
すると、最近日本では、すぐに新人が辞めないように新人を手厚くもてなすと言っていました。以前のように厳しく叱ったり、注意したりということはしない(できない)ようですね。
ただ、何を基本にスタッフ教育って行われているんだろう……悩ましい気持ちにもなりました。

3 ちょっと気になるオーストラリアの看護師の有休やお給料事情!?

オーストラリアでは不思議なことに、フルタイムで働いている人は4週間に1回ADOという有給休暇をもらうことができます。これは誰にでもある制度なわけではなく、おそらくPublic servant(公務員)の特権ではないかと思われます。

今日はNUM(Nurse Unit Manager)のADOの日でした。
通常、NUMが継続学習などに伴い休む際に、NUMの代理責任者を付けてもらえるのにも関わらず、ADOの時には代理責任者をつけてもらえません。つまり、そのしわ寄せはチームリーダーとエディケーターとにきます。
今回、NUMがADOを取得した際、チームリーダーだった方は現場の看護師さんたちと仲良し。
メンバーは、決して悪くなくCCUは臨床3年目のおばちゃんナースで、ときに彼女の態度にイラッとすることもあるけど、今日は比較的遠慮気味で仕事しやすく問題なし!他のメンバーも、やや面倒だな…と感じる方が2名いたものの、特に何事もなく勤務は終了!ほっとしました。

日本で看護師として働いていたとき、「自分がどれだけの給料をもらう権利があるのか」なんて考えたことはなく、それを調べようとすら思いませんでした。ただただ、振り込まれる給料を確認しただけで、有休制度なんてものはあってないようなものでした。

対して、オーストラリアのナースたちは、自分の給与をしっかり計算しているし、自分がどれだけの忌引きや病欠(Sick leave)を含めた有給休暇(Annual leave)をもらえる権利があるのか、きちんと把握しています。
私も日本にいたときと比べると、見るようにはなったなと感じるのですが、やはり給与明細を細かく確認することはあまりしていません。性格なのでしょうか(笑)。

↓オーストラリアの公立病院の基本給料体制を知りたい方はこちらを参照
http://www.health.nsw.gov.au/nursing/employment/Pages/Public-Hospital-Nurses-(State)-Award.aspx

「早く使え!」と言われる有休(Annual leave)

今日主任(NUM Nursing Unit Manager)から、産休に入る前に有休(Annual leave)を使うかどうか質問されました。

実は、最近、有休取得率が低いということが原因で、有休取得に関する制度は最近規定が厳しくなったようです。
「あれ?オーストラリアって、バンバン有休とかとってるイメージだけど…」と思う方も多いと思います。実は、給与の低い臨床経験1年目から3年目のときにはほとんど有休を使わず、徐々に給与が高くなく臨床4年目で貯めておいた(オーストラリアの場合、未使用の有休は蓄積していく)有休を一気に使ういう手法をとる人が増えているのだそうです。
つまり、臨床1年目の給与よりも高い給与を払って、仕事を休まれる……という病院側としては、なんとも辛い状況が生じているようです。
これを経て、シフト制で働くスタッフは、1年の間に6週間以上の有休を取得しなければならなくなり、NUMやCNEは4週以上取得しなければならないという決まりに変わりました。オーストラリアの場合、スタッフがきちんと休みをとれていない場合、上司の管理能力を問われることもあり、私の有休日数について、上から主任に忠告がでた、というのがことの発端のようでした

もう時期産休に入るため、使わず貯めておいてもいいと言われたものの、実は産休中も有休は貯まるのです。産休は14週間なのですがその間フルタイムと同額の給与が支払われるため、それなりに有休も貯まってしまうのです。日本ではない、贅沢な悩みですよね(笑)。

公立病院で働くことの特権?

実は少し不思議なことがあるんです。それは、現在、パートタイムで働いているのに産休中はフルタイムParental leave(出産育児休暇)が支払われるということ。
私が勤めるのは公立病院のため、私立病院の場合がどうかはわからないのですが、今までフルタイムで働いていた人が産休後一時的にパートタイムにしても、フルタイムのポジションを一番下の子供が小学校に入るまで維持できるReduced Full timeという制度があります。さらにReduced Full timeにした後、1年未満にまた産休に入るときには、自動的にその14週の産休はフルタイムで支払われることになるのです。

不思議だけど嬉しい!!

例えば、私の時給が$45だったとして、週3回のパートタイムだと$45×7.5×3=$1012.5という計算になります。
これがフルタイムとなると週5日勤務になるため $45×7.5×5=$1687.5となります。
つまり、普段パートタイムで働いていたのに、産休中の給与は、普段パートタイムで働いているときよりも差額週$675高く、これが産休期間中の14週となると、合計$9450(約90万円)、プラスで給与が支払われることになります。
特権は他にもあり、食事に行ったら免税になったり、その他税金対策もいろいろできたりしてしまうのです。

4 外国人からって関係ない!病棟での「申し送りの仕方」改革

今日も疲れる1日でした… というのも、昨日から娘の風邪をもらい、ちょっと具合悪いのです。仕事を休もうかとも思ったのですが、別段熱もないし、やることも山のようにあったため、結局仕事に行ってきました。日本人らしいですよね。

今、実は、「申し送りの仕方」を変えようとしています。
お恥ずかしいことに、私の勤める病棟は、まだまだいろんなことが遅れています。今、私と一緒にCNEのポジションを共有している人は教育にも熱心で、いろんなことをいい方向に変えようとしてくれています。ただ、現在産休中のCNEが帰ってきてしまうと、何かと物事が進まなくなりそうなので、職場復帰する前に、できるだけいろんなことを改善しよう!と目論んでいるわけです。

オーストラリアでの申し送りは、基本ISBAR(Introduction, situation, background, assessment and recommendation)を使ってコミュニケーションを図るよう指導されています。
順番に患者さんの紹介(年齢、性別等) から始まり、何で入院してるのか、既往歴は何か、自分のアセスメントを述べた後にドクターにどうして欲しいのか、または次の勤務者に何をして欲しいのか、はたまたプランがどうなっているのかを述べるという感じです。
簡単ですが、1番の問題はもちろんアセスメント能力です。日本と異なり学生の時にアセスメント能力は叩き込まれないため、そのレベルは個の能力に依存してしまっています。(病棟のスタッフは本当に経験年数相応でない人が多い…と感じる)

というわけで、今回の申し送り方法改革は絶対に良いことのはず!!と考えています。
ただ、改革や変化を嫌うご年配のスタッフの方々相手に、この改革を推し進めるのは、非常に体力と時間を要し、簡単にいうと「やりにくい」。「改革の仕方」というものをものすごく考えさせられています。
もちろん、教育は押し付けるものではないので、先述している通りAdult learningを学ぶのには適してると思います。(ただ、しんどい……)

そんな疲れた日の夜は、You tubeをテレビで見つつ、お茶を飲みながらソファーに寝転ぶのがいい(笑)
良くないとはわかっていても、この時間にプリングルスを食べてる私もうすぐ22週で今体重は5kg増。前回の妊娠よりはまだよいのですが、日本にいたら助産師さんに怒られるんだろうな、なんて思いつつ、止まらない!!なぜなら、オーストラリアでは妊婦の体重増加に対して、特になにも何も言わないのです(苦笑)。

5 Mortality & Morbidity meeting (通称 M&M:内科の事例検討会)

私が勤める病院でM&Mといえば、Mortality & Morbidity meeting.のこと、つまり月1度の事例検討会(基本的には内科)。数多くあるミーティングの中で、私はこのM&Mが一番好きです。ミーティングメンバーはドクターばかりですが、私が勤める病棟のNUM(Nurse Unit Manager)もこのミーティングが好きなようでよく参加しています。結果、私が勤める病棟からNUMと私、お隣の病棟のNUMと臨床教育看護師(CNE)もお誘いし、朝8時から1時間ほど病棟を離れました。

今回発表された2つの事例は、両方とも非常に興味深かいものでした。
1つ目は心房細動(AF)と心疾患既往のある患者がRAF (急性心房細動 Rapid Atrial fibrillation)で入院してきた事例でした。採血でUreaが高く、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低いのがEDで見つかり、黒色便を病棟入院後に訴えていたが、RAFのHRコントロールばかりに目が行って、鑑別診断が遅れ、消化管出血の治療から退院までに8日費やしたというものです。心疾患の既往のため服用していた新しい抗凝固剤は拮抗薬 (例: ワーファリンに対するビタミンK ) がなく、輸血も遅れ、内視鏡をするのが遅くなったっというのです。

なかには優秀な医師もいて、採血結果を検討する際、すぐにクレアチニンに対してUreaが高いから出血を疑うという話をしていて、非常に興味深かいものがありました。TSHも低いから単なるRAFと考えるのは不自然だと。ごもっともですよね。

2つ目はかなり複雑で、結局何が主訴で入院してきたか忘れてしまいましたが、いろいろあった末に、心筋梗塞で亡くなったということだったと思います。ただ、死因不明のため、このケースはCoroner(検死)が必要だといいます。
Coronerは亡くなる見込みのなかった患者さんが突然何らかの理由で亡くなると発生しますが、警察が関与して原因を調べるため、患者さんがなくなってしまった後は、必ず医師に確認をしなければいけません。もしCoronerであれば、看護師は警察が来るまで何もしてはいけない。もちろん翼状針、カテーテル抜去をはじめ、もちろん除細動のHands free padも剥がしてはいけない……。
私は今までにそんなケースに当たったことがないため分かりませんが、相当大変なんだろうな……。

6 オーストラリアの看護師は委員会参加や研究は必須?

「オーストラリアの看護師は委員会等に参加する義務があるのか?」とよく質問を受けます。
オーストラリアでは日本と異なり、普通の看護師であれば、委員会に参加したり研究したりする必要はありません。
ただ、もしCNS(Clinical Nurse Specialist) になりたければ、病棟に貢献するためにプロジェクトを展開させたり、病棟監査の手伝いをしたりする必要はあります。ただ、それはその人次第です。
私は現在、CNE(Clinical Nurse Educator) 兼CNSのため、自分のプロジェクトを持っていています。あと2か月で産休に入るため、自分の持っているプロジェクト関係は現在超多忙を極める状態。よって、最近は病棟よりも、オフィスにいることの方が多いです。ちなみに、先日は月一回のCNEミーティングが行われたため、午後病棟にはいませんでした。

↑CNEのオフィス

CNSは普通の看護師と同様に患者をうけもつものの、CNEはNUM(Nurse Unit Manager)と一緒で、患者を持たないポジションです。オフィスではアセスメントしたり、研修を行ったりもしています。

通常業務以外に、プラスアルファで委員会や、それらに関連する会議に参加するのは大変なことです。ただ、ミーティングに参加すると病院事情が分かって面白いというのも事実です。CNEミーティングでは大抵問題のあり、TRN(臨床1年目)のことを共有したり、ポリシー、記録用紙等の変更について議論したりします。

今月のミーティングのHot topicはTRNだったので、そのことについて少しお話しようと思います。

一年目の看護師さんは大変

オーストラリアでは、大学卒業前にNew Graduate Program=新卒雇用プログラムに進むため面接を行い(最近では倍率2倍とのこと)、新人1年目は「研修」というかたちをとります。基本的には、2つの病棟を6ヶ月毎、研修し、いわゆる「就職活動」をすることになるのです。

実はこの、New Graduate Program(新卒雇用プログラム)、今年はいろいろ不思議な事が起きています。

まず、中途採用?がある。

去年までは2月始まりのみだったのが、今年は8月始まりの子がいます。そして、通常、1年目からの小児科や救急研修はないのですが、次のローテーションには、私が勤める病棟にいる子は小児科に異動する予定だといいます。
どうやら救急では中途採用がくるという話も……。まさにエディケーター殺し……(涙)。

最近の新卒者の問題(?)は態度!!

世代の違いからなのか、何なのか…… 私が勤める病棟も含めて、3つの病棟にそれぞれ問題児がいるという状況(苦笑)。特にビザのために資格を取った(看護師は永住権や就労ビザを取得しやすい)であろうと思われる子や、親が医療従事者という子に問題児が多いように思います。
人のふり見て我ふりなおせ。私の子たちが医療職に就くようであれば、私も気を付けよう。

幸運なことに、今回の中途採用の子の態度に問題はなさそう!きちんと質問してきて、きちんと指示を守る!
ただ、非常にスローで体力がないため、昨日は12時前にバテていました(笑)。正直、そこまで忙しいしわけではなかったとは思うものの、新しいこともあったし、患者が自己退院したせいもあって、おそらく疲れたのでしょう。
ちなみに、新人をサポートする私も、かなり疲労困憊です。ひとのこと言えませんね(笑)。

CNEミーティング最大のトピックは1年生看護師

このように、何人か技術面や勤務態度などで問題児として捉えられているTRN(1年生)たちがいることは知っていましたが、驚いたのは最も問題児とされていた子がどうやら辞表を出したということ。該当する1年生は前回のローテーションで隣の病棟にいたため、情報は入ってきており、私もこの子の態度には苛立ちを感じたことが何度かあります(苦笑)。
どうやら、Annual leave(有給休暇)が希望通り取得できなかったことに対し気分を害し(?)、トイレに閉じこもるという奇行に出たというのです(苦笑)。さすがにTough love(厳しい指導)を受けることになった1年生は、あえなく挫折、退職という選択をしたようです。おそらく、今後も看護師としてキャリアを積んでいくことは難しいでしょう。

入職できても、安心してはいけない

前述のTRNが「看護師としてのキャリアは積めない」というのは心象的な問題ではありません。
実は、TRNのポジションは12ヶ月の契約で、1年終わった時点で正式に仕事をApply(申請)する必要があるのです。オーストラリアの場合、提出する際の履歴書にReferee(照会人)は必須で、New graduation programを経験した病棟のNUMやCNEにお願いするのは通例です。残念ながら、前述した1年生は働いた病棟、いずれかからも照会人になってくれる人はいないため、次の仕事を見つけるのに相当不利になってしまうのです。しかもNew graduation programを修了していないとなると、仕事を見つけることは困難を極めると予想されるのです。

NUMへの感謝を忘れてはいけない

私もオーストラリアの大学を出ずに、日本の免許を書き換えてオーストラリアの看護師になったうちの1人です。
資格を取得したからといって、ただ闇雲に履歴書を送っても、雇ってくれる病棟はありませんでした。
オーストラリアで免許を書き換える際、実習を行ったのですが、運よく、実習先に空きがあれば雇ってもらうことは可能です。しかし、空きがなければ規定の定員以上のスタッフを雇うことは難しいでしょう。
私の場合、派遣会社で働きはじめ、派遣された病棟でスタッフを募集していたところにApplyし、仕事をGetしました!!
さらに、今回のCNEのポジションも、12か月契約のため、本来であれば12か月間できる人が適切なのにも関わらず、途中で産休に入らなければいけないことを知った上で私をCNEにしてくれました。
その時、私を採用してくれた今のNUMには感謝してもしきれない。というのが正直な気持ちです。

ちなみに派遣会社から派遣された病棟で、正式にポジションを獲得するのには3か月以上、その病棟で働いていないなどいろいろ条件があります。注意しましょう。

病院就職するためのアドバイス

今回の会議中に、新しいTRNたちの面接の様子を教えてもらいました。
まとめとしては、「最近の子たちは、本当に態度がデカい」という内容でした(笑)。
世代が違うからなのかもしれませんが、服装もきちんとしていなかったり、面接マナーもなっていなかったりと、とにかく態度が悪い、デカいという……。当然、そういう子たちは受け入れないと言っていました。

厳しい上下関係のなかで育てられ、礼節を重んじる日本人にとっては大きなハードルではないかもしれませんが、
オーストラリアであっても礼儀やマナーはとても重要です。看護師を目指している皆さん、注意してくださいね。