日々に物足りなさを感じる人!海外は刺激満載です!

お名前坂井 志穂 さん留学期間2013年4月~2014年3月
滞在都市シドニー/オーストラリアインターン先ナーシングホーム

1 プログラムに参加されたきっかけや理由

臨床を5年で離れ大学院へ入学。在学中、研究に必要な海外文献講読のために英語力向上の必要性を強く感じました。留学に対する興味は以前からあったものの臨床で働く中タイミングがなく、いつしか自分の中で留学をあきらめていました。大学院へ通いながら教員として大学に勤務していたある日、校内で学部生向けの短期留学のパンフレットを見つけました。この時、以前からの夢が自分の中でよみがえってきたのです。そのパンフレットを頼りにすぐにインターネットで詳細を調べ、そこで私は日本での正看護師資格と経験を活かせる海外看護インターンシップの存在を初めて知りました。大学院修了後臨床に戻るか迷っていた矢先であったため、年齢的にも(ワーキングホリデーは年齢制限があるため)行くなら今しかないとこのプログラムに参加することを決めました。

ちなみに私と運命的に出逢った、留学の夢を思い出させてくれたそのパンフレットはワールドアベニューのパンフレットでした。ちょうど私の専攻ががん看護であり、緩和ケアの歴史が古いオーストラリアには以前から興味を持っていたため、私にとって非常に好都合な渡航先でした。

2 出発前の英語力はどのくらいでしたか?また現在の英語力はどのくらいですか?

英語という科目は嫌いではありませんでしたが、高校での英語の成績は学年最下位レベル!!臨床勤務中は全く英語とは無縁な生活を送っていたため、もともとない英語力はさらに低下。きっと0に近かったと思います。決意した後はなるべく英語に触れようと、毎日TEDを聴いたり、英語音声・英語字幕の映画をみたりしていました。現在は渡航当初に比べて非常にリスニング力が向上したと実感しています。

3 具体的にどのような仕事をされていますか?

アシスタントナースの業務は日本の正看護師業務でいう日常生活援助の部分です。

日勤帯:シャワー介助、清拭、更衣介助、移動介助、トイレ介助、食事介助、口腔ケア、環境整備、ベッドメイキング、モーニングティー・アフタヌーンティーserve、施設利用者とのお話しなど。

夜勤帯:巡視、オムツ交換、体位変換、看取り(ご遺体の清拭、更衣)などです。

4 日本とオーストラリアとで感じられた看護の違いを教えて下さい。

「完全分業」この一言に尽きます。

アシスタントナースの業務内容をみると、ほとんど日本の正看護師が行っている業務です。それではオーストラリアの正看護師の業務は何なのでしょうか?
与薬、創傷管理、バイタルサイン測定、スタントナースからの報告を受け患者さんとのトラブル解決などです。

たとえ患者さんが目の前でトイレに行きたがっており、自分がやる方が早いとしてもRNは手を出さず、スタントナースをわざわざ探し回り依頼します。
皆それぞれの仕事を全うしているのです。

5 アシスタントナースとして働いた中で印象に残っていることを3つ程度あげてください。

①充実したマニュアル類
毎日異なる派遣要員がきても仕事が回るのはマニュアルが充実しているからです。施設ごとに多少違いはありますが、患者さんの看護度、ADLレベル、移送方法、食事内容(嚥下レベル)そして、ケア手順が患者個々の部屋の壁に貼ってあったり、ラミネートされたものを渡されて持ち歩くことができたり、ナースステーションにファイルとして置かれていたり。そのため、初めて行った施設、初めて会う患者さんにも関わらず、すぐに仕事にとりかかることができるのです。そしてきちんとケア計画が定期的に見直されているので外部者も戸惑うことなく、スムーズに仕事ができる環境が整っていることに感心しました。

②薬について
ほとんどの施設でWebster packを導入しているということです。Webster packとは、1週間分の内服薬が1人1シートにアルミシールしてあり、予めシートは朝、昼、夕、眠前にわけてあり、薬局でパッキングされ、施設に運ばれてきます。日本において内服薬一方化のシステムは一般的ですが、取り出しやすさ、持ち運び安さ、いつ飲む薬か認識のしやすさなどすべての点においてこのWebster pack は優れていると感じます。これは業務の時間短縮、誤投与の減少、患者の自己管理もしやすいという画期的なアイディアだと感じました。

③残業がない
むしろ5分前にはスタッフ全員帰る準備が整っているくらいです。きちんと自分の終了時間を患者さんに伝え、「それは私の勤務時間を超すからできない。次のシフトの人に頼んで」とキッパリ言い切るスタッフの姿に初めは驚きましたが、何も間違っていません。助けを必要としている患者さんを目の前にきっぱり言うことは私にとってさすがに難しいですが、スタッフ間でお互いを思いやり、スムーズにシフトチェンジができるような職場の環境作りが大切だと感じました。

6 実際にどのくらいの頻度・収入で働いていますか?

多い時は週42時間$1100(Tax込)程度ですが、スクールホリデー中は派遣会社に仕事の依頼が少ないため、週0時間という時期もありました。

7 今後の目標を教えてください。

臨床における課題・目標は、上記に記載したことと重なる部分もありますが、それぞれの職種の業務の細分化と明確化、マニュアルを充実させること(業務のマニュアル化は避け、あくまでも個別ケアを充実させ、ケアのレベル水準を低下させないためのもの)、仕事を依頼しやすい職場環境への改善です。いずれも、オーストラリアの医療施設での経験をもとに必要性を感じたことです。

自己の課題としては、今回の留学期間中にオーストラリアのがん看護学会で発表することができたことをきっかけに今後も国際学会での発表や英語論文投稿を行ないたいと考えています。またIELTSスコアをアップさせ、海外の大学院に進学し、Palliative careについて学びを深めたいです。これからは今以上に英語力向上のために努力をして行かなければならないと思っています。

8 これから飛び出される方へメッセージをお願いします。

英語力がなくてもこのプログラムに参加することは可能です。(事実私でも可能であったため)しかし留学を検討する方にぜひお勧めしたいのは、できる限り英語力を伸ばして海外に臨んでほしいということです。仕事においては経験できる幅が広がります。また日常生活をより楽しむことが可能です。少しでも英語力を上げて留学に臨むことで、さまざまな面において経験値が変わります。せっかくの機会をより実のあるものにするためにぜひ英語力を上げて臨むことをお勧めします。(しかし実際に渡航することで英語力は必ず伸びますのでご心配なく)

海外は自分自身の視野が拡がります。オーストラリアという国が移民の多い国だからなのか、様々な国の人と出会って感じたこと、それは日本はなんて閉鎖的なんだろうということです。

また看護観を再考するとても良い機会です。自分の行なってきた看護を外からみつめなおすと、決して否定ではなくよい面がみえてきます。そして海外の看護の良い面を知り、それを自分のものにすることができれば、もっとよいケアを提供することが可能です。

日本で働いていて物足りないなと感じる人、新しいことに挑戦したい人、新たな刺激がほしい人、必ず何か見つかります。私のモットー、人生一度きり、やらずに後悔するよりやって後悔するほうがまし!何か行動を起こさないと何も始まりません。

9 その他コメント。

オーストラリアに来てthank youをよく使う、そしてよく使われるようになりました。ありがとうの気持ちを伝えるの大切さ、気持ちよさを改めて感じることができています。