2018年9月開催の病院見学レポート

2018年9月、海外看護有給インターンシップに参加中の看護師の方々を対象に看護交流会の一環として病院見学ツアーを開催いたしました。今回見学した病院はオーストラリアでも最大規模の小児総合病院です。病院見学のなかでご参加いただいた皆さんからいただいた質問を大きく5つにまとめ、その質問内容と回答内容をご紹介します。

病院の様子などは、2016年9月開催 病院見学レポートも併せてご覧ください。

質問1. 病院のデザインについて

Q. 病院の入り口から子どもが喜びそうなお人形があったり彫刻が飾ってあったり、デザインに凝っているなという印象をうけました。子どもたちの緊張をほぐすためですか?

A. 通院または入院している子どもは皆がハッピーというわけではありません。子どもたちの不安や緊張をできる限り取り除くことは私たちにとってとても大切なことで、ここで働く多くのボランティアも、そのことに焦点を置いています。

例えば、まず病院のエントランスをくぐるとまるで水族館に来たようなデザインになっています。天井には魚が泳いでいたり、壁には波のイメージが描かれていたりと、さまざまな工夫が施されています。また病棟で使用しているカーテンやベッドシーツなどは、プロのデザイナーによってデザインされており、他の工夫と同様に、子どもの緊張をほぐすため、温かい色味で仕上げられています。
他にも病院のいたるところに絵が飾ってあります。これは入院中の子どもたちが描いたものがほとおんどで、自分の家のように感じてほしいという思いから、飾っています。実際にNSWから認定されているアートギャラリーも病院の中にあります。

感想

病院なのに、たくさんの絵が飾られていて、病院・病棟全体がとても明るく見えました。
自宅にいるような気持ちになってほしいと、実際の患者さんが描いた絵が飾られているというアイディアも、とてもいいなと感じました。

質問2. 高度医療について

Q. 病院にくる道に‘Hospital Institute’がありました。この病院(見学した病院)と関係はありますか?

A. もちろんです。この病院はティーチングホスピタルでもあり、高度な小児医療を提供している病院のため、教育機関とも連携してドクター以外の研究者も病院のなかでケアにあたっています。ここにいると日進月歩で進化する医療を肌で感じることができます。また、最先端の小児医療を提供していることから、遠方から紹介されて通院・入院する子どもたちも多くいます。生まれてから重症な症例と診断されると高度医療センターセクションのスタッフと連携してより良い治療法を見つけていきます(ガイド談)

感想

お話を伺い、小児の最先端医療を提供している病院なのだと実感しました。
可能であれば研究棟も見学したかったです。

補足病院見学の最中、車椅子に乗ってリハビリしていたり、専用の器具で歩いていたりする子どもをみかけました。
小児のSpina Bifida(二分脊椎)の手術例も多いらしく、出生後に確定診断、または手術のためにこの病院に紹介されることが多いようです。病院のなかには歩行を補助する器具を作ったり、成長の速い子どもの身体にあわせて器具を調節したりする部署もあり、子どもが大きくなってからも定期検診で受診する子どもも多いみたいです。

質問3. 器具やギプスについて

Q. カラフルなギプスやかわいいペイントのついた歩行器具を使っている子どもがたくさんいますね。
日本の病院では院外に技師さんがいるので、好きなデザインが選べなかったように思います。そもそもピンクのギプスや義足も日本で見たことがありません(笑)。
ここでは技師の方がデザインなどを工夫しているのですか?

A. 器具も義足も子供用なので、やはりデザインはかわいらしいほうがいいですよね(笑)。ここには専門の技師がいて測定から制作まで病院内で行っています。
補足写真を撮ることができず残念なのですが、用意してあった義足やギプスは男の子用にはサッカーボールの模様や迷彩柄、女の子はスパンコールつきのデザインなどもありました。

質問4. 入院中‐ご家族の付き添いについて

小児整形病棟を見学中に頂いた質問です。

Q. 日本の病院では、子供が入院することになったとき、必ずご両親どちらかに付き添いをお願いしていました。個室では大人用の狭いベッドがひとつ、4床でも狭いスペースの中に大人用のベッドか、または子供と一緒にベッドに寝てもらっていました。オーストラリアの病院はどのようなシステムになっているのでしょうか?

A. この(今回見学した)小児病院は、急性期の病院としての役割が大きいため平均滞在日数はおおよそ3日です。
ただ、もちろん難病をもっている子どもや整形の子どもは長期間の入院が必要ですし、遠いところから何度も通院が必要になる子もいます。

基本的に、各病室に大人用のシングルベッドがひとつあり、入院のときは必ず親が付き添いしてもらいます。ICU(集中治療室)やNICU(新生児集中治療室)などは1日24ドルで大人2人まで寝れるシングルルームも用意されています。また、ご家族にとってもストレスフルな入院生活のなかで、少しでもストレス緩和につながるよう、静かに過ごすことのできる場所として使用できる親専用のラウンジルームがほとんどの病棟に用意されています。
ここは子どもの立ち入りが禁止で、親御さんが食事をしたり、読書したり、シャワーを浴びるなど、リラックスしたいときに利用できる環境となっています。

他にも、遠方から訪れるご家族のために‘Ronald McDonald House’という宿泊施設も病院の中にあります。マクドナルドがスポンサーをしていて、寄付で運営されています。事前の手続きが必要ですが、宿泊費は無料です。
またIPTAASというシステムがあり、病院から100キロ以上離れた遠方の家族に対しては病院のソーシャルワーカーを通じて、宿泊先を紹介したり、手配したりするサービスも利用することができます。

感想

日本で勤務していた病院は食堂やテレビなど共有で、親御さんのためのベッドルームはありませんでした。長期間の入院にもしっかり対応できるように両親のリラックスのためのラウンジまで揃っていて、サポート環境が整っていることは素晴らしいと思いました。また病院の中に宿泊施設が揃っていると、急な用事があるときでも安心だと感じました。

質問5. 入院中‐チャイルドケア、病院設備について

Q. 病院内に保育園のような施設があり、子どもが遊んでいましたが、どういったケア、また設備なのでしょうか?

A. 病院のちょうど真ん中に設置されている保育園のような施設、またケアのことをシビリングケア(兄弟ケア)といって、入院中の子どもの兄弟や姉妹を 一時預かりできる施設です。病院の中の保育園というイメージです。シビリングケアは毎日行われていて、訓練されたボランティアスタッフによって運営されています。ボランティアは元教員の方など、今は仕事をリタイヤしたおじいちゃん、おばあちゃんが活躍しています。
検査や診察のために親御さんが子どもに付き添わなければいけないときなどに、シビリングケアの予約をとって兄弟や姉妹を預けみてもらうことができます。

感想

シビリングケアでもボランティアさんが大活躍されていてとても驚きました。
地域の方々の協力で、入院中の子どもだけでなく親も安心できる仕組みが整っているんですね。


Q. オーストラリアで最大級の小児病院と聞きました。なにか特別な施設や取り組み、特徴があるんですか?

A. 病院規模が大きいのはもちろんですが、当病院のコンセプトである「トータルヒーリング」が特徴と言えると思います。
病気を持ちながらも、遊びも勉強も子どもらしくがんばってほしいのが従業員とボランティアの願いです。

他の病院にはない仕組みとしては「スターライトエクスプレスルーム」と呼ばれる子どもたちの遊び専用の部屋があることです。「スターライトエクスプレスルーム」はスターライトから来た宇宙人がいるという設定になっていて(笑)、医師や看護師が入れない院内唯一のメディカルフリーゾーンとなっています。
子供たちが自由にテレビゲームをしたりピアノをひいたり、日々病気と闘う子どもたちが主体的に楽しむことのできる空間となっています。体調が悪くて病室からスターライトエクスプレスルームまで来られない場合はスターライトエクスプレスルームのスタッフが個別訪問をしてゲームをしたりトランプをしたりすることができるなど、工夫しています。他にも院内専用のテレビ局があるので、ボランティアの方たちが作るテレビ放送を毎日視ることができます。これも自分の部屋から出られない子ども達に楽しみを提供できる特別な仕組みのひとつです。

感想

スターライト星人(スターライトエクスプレスルームのスタッフ)は特注のユニフォームをきていて、部屋自体も病院とは思えないほど設備が充実していました。遊んでいる子どもたちも決して入院中とは思えないほど夢中で遊んでいて、すごかったです。