IELTSとOETとの違いについて

海外で看護資格取得を目指す方には良く知られている事実ですが、OETとIELTSでは求められる英語が大きく異なります。 OETは決して、「IELTSより簡単」ということはありませんが、IELTSと違う英語力が求められます。 なぜならOETで出題される課題は、受験対象者の労働環境を模して、医療関係者と言語のエキスパートにより作成されたものだからです。

IELTSの別名

IELTSはケンブリッジ大学で開発された語学判定試験で、その目的は多岐にわたります(例:学校入学・企業入社時の語学力判定)。
この試験では通常とても高い英語力が求められ、その質の高さから、時には「ゴールド・スタンダード(黄金基準)」と称されることもあります。
しかしその質の高さから、「看護師にそこまでの英語力をもとめる必要はない」との反論もあがっています。

OETとIELTSの比較

下記はOETとIELTSの両試験にて試験官を行っている学者の試験比較の言葉を引用したものです。 「言語、文化、コミュニケーションには大きな相互点が見られる。IELTSは英語力を判定する試験であるが、文化的背景を考慮に入れておらず、人との関係や特異とした患者との接点という点は測りきれないのに対し、OETは医療に関連した側面からその英語力を測ることができるので、雇用者としてもその利用価値が伺える。」

その他にもOETとIELTSに異なる点が多少あります。
IELTSはOETに比べて比較的安価で、テストの開催回数も多いです。
この事実により、看護師登録を目指すたくさんの看護師にとってはIELTSのほうが有名であり、IELTSで規定を満たすことを考えることが多いのが実情です。
もちろんIELTS、OETともに優れている点はあります。

IELTSは世界的に有名な語学判定試験であることに対し、OETは医療関連に関してとても役に立つ。
どちらの規定を満たした場合でも、海外での看護師登録につなげることができます。実際に様々な学校で、各試験に対する対策コースを開催していますが、どちらの道を通ってでも、オセアニアで看護師登録ができるように準備することができます。

IELTSについて


IELTS とは「 International English Language Testing System」の頭文字を取ったものであり、世界で広く使用されている英語力判定試験です。
様々な大学や教育団体にて入学判断基準に用いられており、この試験では、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの能力を判定することができます。
IELTSは「アカデミック」と「ジェネラル(一般)」モジュールの2つに分れます。
資格申請に必要とされているモジュールは「アカデミック」になります。

ジェネラル (一般) モジュール

一般モジュールはオーストラリア、ニュージーランドへの移民を対象としている人の英語能力を評価するための目的として施行されていることが主です。
従って、専門学校・大学入学等ではなく、実際に仕事をするための一般的な英語力を判定するための試験として、実施されています。

アカデミックモジュール

アカデミックモジュールは英語圏の専門学校、大学・大学院入学を目的に広く施行されています。
一般モジュールよりも敷居が高いとされており、英語力の観点からは、実際に一般モジュールと同じ点数でも、アカデミックのほうがレベルが高いとされています。

ジェネラル、アカデミックを問わず、テストの内容はリスニング・スピーキング・ライティング・リーディングの4分野に区分されており、リスニングとスピーキングはジェネラル・アカデミックともに試験内容は同じものとなっています。

しかし、以下の点を注意しましょう。


IELTSのメリット&デメリット

メリット
IELTSはOETに比べて比較的安価
IELTSの試験費用が現在AU$317に対し、OETは現在$580.80 (4分野受験の場合)。 しかもOETをオーストラリア以外で受講した場合、その費用はAU$775 (4分野受験の場合)となります。

テストの開催回数が多い
IELTSは月に2回程度行われるのに対し、OETは6週間に一度、年に約7~10回程度しか行われていません。 またIELTSは連続で受験することで頻繁に受験する事ができますが、OETは次回の試験まで1ヵ月半~3ヶ月程度待つ必要があります。

デメリット
医療に関連していない
試験の内容が医療に関連していることは稀であり、環境問題、農業・工業、科学、ビジネスのような内容が主なため、看護師資格取得を目指す方にとっては、興味のない分野を勉強する必要がでてくるため、モチベーションの持続が難しくなります。

OETについて


The Occupational English Test(※以下「OET」)は医療に携わる人のために作成された語学力判定試験です。 このテストでは医療現場で必要とされる英語力が判定されます。 OETの試験はOETセンターの管轄にて、毎年に7~10回、世界40ヵ所で行われています。 このテストは海外の医療資格に登録を行いたい人の語学知識を測るほか、英語圏で通用する英語力を測ります。 オーストラリア・ニュージーランドの看護協会は、海外の正看護師が現地の看護師として登録するために必要な英語力を、OETの全てのカテゴリー(リーディング、ライティング、リスニング、スピーキング)にて「B」以上と定めています。

OETの詳細(各セクションの説明)

OETの全てのセクションでは、海外の医療職務において毎日起こりえる状況を想定した上で、その状況が試験の題材として使用されています。 この試験では英語力が判定されますが、自分の医療知識を活用することでもっと簡単に問題に解答することができる場合があります。

リスニング


テスト時間は約50分です。 テストの時間はあらかじめ録音されている内容により多少異なります。 内容は2つのパート (A、B)に分かれており、また全てのOET受験者は同じ題材の内容を受験します。

PartA
会話が行われている間にノートをとり、その後に自分でとったノートを参考に、出題される問題に回答します。このパートの時間は回答時間も含め、約20分からなります。

PartB
このパートでは様々な方式の問題が出題され、リスニングをしている間に回答します。このパートは約30分からなります。

上記のパートはいずれも1回しか流れません。 しかし質問を理解する時間、解答を書き落とす時間として、途中である程度の間隔が空けられます。 テストの最初の部分では題材や問題を探すための時間が設けられ、また最後の部分では、テストの解答を確認するための時間も設けられています。

リーディング


内容
テスト時間は約60分です。 このカテゴリーは2つの文章から構成されており、解答は選択問題形式となっています。 出題される文章の内容は全て医療関係に携わった内容となっています。

対策
この2つの文章では学術的な論文や専門雑誌にとりあげられている医療関連の記事が利用されます。
各文章の後に、10~14問の選択問題と4択の解答が与えられます。
実際のテストでは、開始時に文章が手渡され、また解答用別紙が与えられます。解答用紙はマークシートになっているので、適当な解答を鉛筆 (2B)で塗りつぶしてください。
※解答には全て答えるようにしてください。また塗りつぶす箇所は間違えないように注意しましょう。

解答時間もテスト時間の60分に含まれています。
解答用紙に解答が無い箇所は、0点として換算されるので注意してください。

ライティング


内容
ライティングが必要とされる理由ですが、現在の実務はコンピューターにより行われことが多いのに対して、医療関係の職務では文書を求められることがしばしばあります。
ライティングの分野では職務に直接関連した内容で、読む側にとって必要で適当な情報を簡潔で、且つ正確に伝えられる能力を測ります。
限られた時間の中でどこまで文章が書けるかどうかというのは、実際の医療職務でも現実的に関連してくる内容です。

このテスト時間は45分で、自分の専門医療に関連した題材となります (看護師であれば「看護師」の題材、歯科医であれば「歯科治療」に関連する題材)。各テストでは各医療分野における代表的な状況、専門的な需要を基に題材が準備されます。

対策
上記にある通り、このテストでは文書 (紹介状、推薦状等)を書きます。各専門分野により、その内容は異なります。

説明の部分でまず、題材が与えられます (カルテ、関連書類等)。最初の5分は与えられた題材を読む時間に当てられ、課題を読むことは許されますが、文書を書き始めること、メモをとること等はすることができません。

残りの45分は、課題に対して文書を書く時間に当てられます。
冊子が渡され、その中に文書を記載していきます。この冊子の中には文書だけでなく、文書構成等も書き落とすことができます

スピーキング


内容
テスト時間は約20分、個人面接形式で行われ、自分の専門医療に関連した題材となります (看護師であれば「看護師」のロールプレイ、歯科医であれば「歯科治療」のロールプレイ)。

スピーキングテストの背景には、医療専門家として最も重要な部分である、患者との対話がいかに効果的にできるかどうかの能力を試されます。従ってこのテストではロールプレイ (想定状況の基で行われる実務)を行います。ロールプレイの中で、毎日行われる職務状況を想定し、英語力が測定されます。

対策
考えられる様々な状況の中でのロールプレイとなるので、患者の設定は「心配性」、「怒りっぽい」という性格的なものから、「自分の状況を勘違いしている患者」等のケースが考えられます。限られた時間の中で、それぞれの患者に対しいかに的確に医療説明ができるかが審査の対象となります。

各インタビューでは、まず受験生の専門医療分野と名前が確認され、その後に受験生の背景・経験について簡単な会話が交わされます。
その後ロールプレイの内容が発表されます。
内容は2つ与えられ、各ロールプレイを5分程度行います。題材は1つずつ与えられ、また各題材が発表された後に、2-3分の準備時間も与えられます。

題材はカードに記載されており、そのカードが受験者に渡されます。受験者はそのカードが与えられた後、そのカードノートをとったりしてもかまいません。
そのカードの中にはロールプレイの状況と必要な課題が記載されています。カードの内容でわからない点や不明な点がある場合は、実際のロールプレイが始まる前に質問することができます。

2つのロールプレイの内容のみが評価対象となります。
テスト中の会話は全て録音されており、録音の内容を基に評価が下されるため、実際にインタビューを行った面接官が審査をするわけではありません。

面接官はある程度用意された台詞をもとにロールプレイを行うため、受験者は良く似た内容のロールプレイを行うことになります。

各テストでは各医療分野における代表的な状況、専門的な需要を基に題材が準備されます。受験する分野により、異なったロールプレイが行われます。

各ロールプレイでは、受験者が医療関係者の役を行うのに対し、面接官は患者の役を行います。面接官は患者の役のみならず、「保護者」や「世話人」の役をすることもあります。

このテストはあくまでも英語力を測定するための試験であり、医療知識を試すものではありません。


OETのメリット&デメリット

メリット
医療関連英語
OETは英語力を図る試験ですが、看護師として過去に携わってきた経験がここに活かされる場合があります。わからない単語も、医療関連ということから、自分の経験により意味の推測がしやすくなるのは明白の理です。また全てのセクションで「B」を取得することを目標にしながら、実践でも使える医療英語を常に勉強していることになるので、モチベーションも高く保つことができます。

カテゴリーごとの取得
仮に全てのカテゴリーで「B」が取得できなかった場合でも、次回のテストで、前回「B」がとれなかったカテゴリーのみを受講するだけでよく、毎回全てのカテゴリーで「B」を取得する必要はありません。再テストが必要なカテゴリー数によっては、再テストの料金 がIELTSよりも安価になることもメリットと言えます。各カテゴリーで一度取得した成績は2年間有効となりますので、2年の間に全てのカテゴリーで「B」が取得できれば看護登録に必要な英語力を達成することができます。
※しかし、現在ではニュージーランドを除くオーストラリア全ての州が、全てのカテゴリーで「B」以上を、一度の受験で取得する必要があるようになりました。

この点のみを比較すると、IELTSでは毎回のテストで、全てのカテゴリーの規定を満たさなければいけないため、 OETのほうが勉強する焦点を当てやすくなります。しかし現在の状況を加味すると、この条件ではニュージーランドのみが有効と言えます。

デメリット
IELTSに比べて比較的高価
IELTSの試験費用が現在AU$317に対し、OETは現在$580.80 (4分野受験の場合)。しかもOETをオーストラリア以外で受講した場合、その費用はAU$775 (4分野受験の場合)となります。分野別に受ければ割安となりますが、カテゴリー別に受講することができるニュージーランドのみのメリットとなります。

テストの開催回数が少ない
IELTSは月に2回程度行われるのに対し、OETは6週間に一度、年に約7~10回程度しか行われていません。またIELTSは連続で受験することで頻繁に受験する事ができますが、OETは次回の試験まで1ヵ月半~3ヶ月程度待つ必要があります。

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